アーカイブを外部に持つか内部に持つか

6月4日09:13再掲*1
拙稿にトラバしていただきありがとうございます。大変恐縮しております。

情報の「圧縮術」と「省略術」は違うぞ - ピアノ・ファイア http://d.hatena.ne.jp/izumino/20080531/p1

404 Blog Not Found:圧縮と省略の違い...というか違いのなさ http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51059211.html

メカAG - 作品の情報圧縮は第3のタイプ http://www.asks.jp/users/mechag/174999.html

■省略と圧縮■

まず省略と圧縮の違いについて私見を述べておきます。

元々この情報圧縮論という語はコンピュータ用語から援用したもので、一見無関係な独立したデータが、全体を俯瞰して再構築するとまったく違う意味を持ってくるというような場合に用いる事を想定しています。BMPをZIPに圧縮して分割するような話、ですかね。つまり可逆圧縮ですね。

省略という語は普段意識して使った事はないんですが、あえてガンダム3部作を省略と捕らえるならば、それは不可逆圧縮BMPJPEG形式に変換するような、全体のコンテクストは失われないがディテールは損なわれる―というdankogaiさんがlossy圧縮と説明されているものの事をイメージしています。誤解を招きそうな表現であれば、省略という語は用いないほうが良さそうですね。

■情報圧縮作品の楽しみ方■

コードギアスやScoolRambleのような、私が情報圧縮作品と呼んでいる作品には、一種の、パズルを解くような面白さがあるんですね。一見まったく無関係のエピソードにあるオブジェクト同士を結びつけ、意味を付加しコンテクストを読み取る。それを繰り返す事で全体に通底するテーマをイメージする。私はこれを完成図のわからないジグソーパズルを組み立てる面白さ、と言ったりしています。

アーカイブを外に持つか内に持つか■

メカAGさんの連想圧縮という表現には大変感銘を受けました。ご迷惑でなければ、今後是非使わせていただきたいな、と。ところでこの作品の中の情報だけで処理するか、読み手の人生経験を用いて処理するかという指摘はなかなか興味深くて。

というのも、昨今言われている、いわゆるデータベース消費型の作品というのは、作中のオブジェクトの意味をその作品の内部ではなく、外部の別の作品に求める事を要求しているんですよね。金髪ツリ目ツインテールツンデレ、みたいな情報は、どれだけ首ッぴいてその作品だけを読み込んでもまったく出てこない。それとは別に、身体感覚や生活体験に依拠した、特定の他作品の参照を必要としない、感覚共有型?とでも言うべき情報圧縮の技術もあるんですよね。

ここらへんが、いわゆるデータベース消費論と情報圧縮論の適用範囲の違い(情報圧縮論はデータベース消費論を内包しうる)と思っているのですが、まだ上手く説明できてないですね。

おいおい、議論を重ねつつ、形にしていけたら、と思っています。

*1:手違いでエントリを削除してしまっていました。キャッシュから復元出来ましたので再掲します