死んでおるギアス

ギアスってやつは、超常の力に依るまでもなく、常に存在していて僕達を束縛している。コードギアスのリアリティ----超常の力としてのギアス/超常ではない人間模様としてのギアス - シロクマの屑籠(汎適所属)

 p_shirokumaさんのこの考察は非常に的確で、コードギアスという作品は有形無形の行動を束縛する呪いのような力が働いていて、ギアスの超常能力というのは明らかにそのカリカチュアなんですよね。

死んでおるギアス

 その中でも特に強力なのが、皇帝が幼いルルーシュに発した「死んでおる」という言葉によるギアス。皇位継承権なんて要らないと言うルルーシュに対し、力を求めないのであればそれは死んでいるのと同じだと突きつけたんですね。とルルーシュという生来心優しき少年は、CCに出会うまで、ギアスの力を得るまでは、それでもいいと思っていた。それが、第1話でのルルーシュ「あの日から俺は、ずっと嘘をついていた。生きているって嘘を」という台詞に繋がるんですね。

 ブリタニア帝国のルールを否定し、小さな幸せこそを求めているのに、力を求めた時から皇帝の敷いたルールに則って生きてしまうという矛盾。力を放棄するという選択肢は常にあるのに、それを選択できないのは、皇帝の言葉によるギアスにルルーシュが支配されているからなんですね。「また昔みたいになるくらいなら」死んだほうがマシだ(第1期7話)という、その昔こそがルルーシュの求める幸せであるのに…。

ナナリーの選択

 一方でルルーシュが力を得る事が出来ないと断じていたナナリーは、R2においてブリタニアのルールに則って力を求めてきた。R2第7話の自暴自棄のルルーシュは、この矛盾が決定的になってしまったからなんですね。第7話のルルーシュの“気付き”はこの呪縛を解き放ったかとも思ったのですが、その後の2話を見るに、まだその支配下にあるようです。

皇帝のルール

 ところで、皇帝は皇族が力を求め、そして闘争を覚悟するのであれば、それを決して咎めないんですよね。ということは、もしルルーシュが力を求め、皇位継承候補のレースに参加する意思を示したならば、ひょっとしたら皇帝はそれをあもうもなく承諾するかもしれませんね。その時こそがこの呪縛が解かれる時なのかもしれません。