コードギアスの低視聴率を歓迎する!
寝かせているうちに反応を返すタイミングを逃したような気もするのですが、思うところなどを。視聴率と作品の人気や売上にはもはやなんの関係もないという話。まったく、諸手を挙げて同意します。それどころか、私は視聴率が低いのは歓迎すべき!くらいに思っています。
商業作品としてはすでに大成功
テレビアニメのDVDの累計平均売上の上位はこうなっています(2008年2月現在)。
- 1位 新世紀エヴァンゲリオン 174129本
- 2位 機動戦士ガンダム 81499本
- 3位 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 69247本
- 4位 機動戦士ガンダムSEED 58563本
- 5位 機動戦士Zガンダム 54994本
- 6位 コードギアス反逆のルルーシュ 45367本
- 7位 涼宮ハルヒの憂鬱 41038本
- 8位 ドラゴンボールZ 40471本
- 9位 カウボーイビバップ 40212本
- 10位 機動戦艦ナデシコ 38349本
エヴァ桁違い!ガンダム強い!といったところですが、この2シリーズの後につける堂々の売上。しかも2期放映中ということでまだ延びしろもあるでしょう。だいたいDVDの売上の3分の1が製作収入となるという通説がありますので、3話入り6000円のコードギアスの場合、1話1本あたり666円の収益となります。制作費を高めに見積もって1話2000万円としても、3万本売り上げればDVD販売だけで資金回収。製作委員会としては大大大成功作品といってまったく差し支えがないわけですね。
枠変更で変わったものと変わらなかったもの
さて、視聴率が低いのは歓迎すべき事だと書いたのは、コードギアスという作品が、枠を平日深夜から日曜の日中に変更したにも関わらず、その内容については基本的に変更をしなかったから、なんですね。この放映枠変更を最初に聞いた時、誰もが真っ先に不安に思ったのは、日中の放映という状況におもねって過激な描写や見る人を選ぶ複雑なシナリオ運びや演出が損なわれてしまうんじゃないか?と。みんな感覚で分かってるんですよね。日中の時間で視聴率が取れる番組というのがどうゆうものなのかって事を。私たちの大好きなコードギアスという作品が、そんな姿なき“一般視聴者”におもねって変節してしまったら、そんな悲しい話はない。しかし、私たちの目の前にあらわれたコードギアスR2は、そんな心配など軽く吹っ飛ばす、刺激的で驚きに満ちたあのスタイルを貫いてくれています。であるならば、その結果として当然の帰結である視聴率の低迷というのは、むしろ歓迎すべき話なんですね。
スポンサーは視聴率を必要としていない
コードギアスの番組スポンサーは、バンダイ、角川、バンダイビジュアル、BIGLOBE、ソニーミュージックと、製作委員会に名を連ねるあるいは関連商品を提供している面々で、元々視聴率よりも商品の実際の売上を重視しています。そもそも実のところテレビアニメというのは往古の昔から視聴率よりも関連商品の売上のほうが重要視されてるんですね。有名な話ですが、機動戦士ガンダムが打ち切りになったのは視聴率が低かったからではなく、当時のメインスポンサーだったクローバー社の玩具の売上が振るわなかったというのが直接の原因だったりします。ガンダムが爆発的人気を獲得したのは後にガンプラが発売されてからなんですね。
ここでスポンサーにネット企業であるBIGLOBEが入っている事にも注目です。非常に印象的なCMで覚えている人も多いかと思いますが、BIGLOBEはこの作品をむしろテレビよりもネットで見て欲しい訳なんですよね。BIGLOBEでの再生数についてのデータは持っていないのですが(調べたくはあるのですが)、視聴率が低くても関連商品の売上が好調=ネットでの配信が効果を上げているという見方をすることもできます。つまり少なくともBIGLOBEにとっては低視聴率は歓迎する事はあっても憂う事はまったくないんですね。
ビジネスモデルが大きく変わりつつある
NHKの連続ドラマ「ちりとてちん」の視聴率が歴代で最低だったにも関わらずDVD売上が好調だというニュースが話題になっています。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20080611-370726.html
視聴率はすでに人気の指標としての機能を失いつつある。映像コンテンツを巡るビジネスは今大きな転換点を迎えているんですね。テレビの影響力はもちろんまだバカには出来ないでしょう。実際にテレビで見る見ないに関わらず、全国放送しているというのは話題性を保つためにはまだ重要な要素ではあるとは思います。しかし、その影響力はじわりじわりと低下している。コードギアスという作品がこのまま低視聴率を維持して、その上でネットビューやDVD売上での記録を打ち立ててくれれば、それはまさに時代の変わり目を象徴する作品となってくれるはずです。だからこそ、あえて私は言いたい。
コードギアスの低視聴率を歓迎する!と。