ナナリーは本当に死んだのだろうか

 コードギアスR2第18話「第二次東京決戦」。あまりの展開に、まるで現実感がない…ナナリーが死んだ?…ははは…そんな訳がないだろう?…これは悪い夢さ…目が覚めたらいつものようにナナリーが微笑んでいてくれる…そうに決まっている…そんなルルーシュの思考に、しばしシンクロしてしまいました。

 実際のところ、これでナナリーが死んだとは、展開の必然としても、ストーリーの整合上も、また画面上に決定的な描写がないことも含めて*1ナナリーの死を信じない、信じられないという人も多いと思われます。私もその1人ではあるのですが…この現実感のなさ、大切な存在が失われたことを受け入れる事が出来ない心理を視聴者と共有させることこそが、演出意図ではあるのでしょうね。

ナナリーが生きている可能性

 実際のところしかしナナリーが生きている可能性はあるのでしょうか。それが判然としないのは、フレイヤの光によって、ナナリーが生きている痕跡も、死んでいる痕跡も、どちらの可能性も完全に消滅させてしまっているからなのですが…少なくともフレイヤの有効半径内にナナリーがいたということだけは、確かなようです。脱出フェイズ以降ローマイヤ女史とナナリーが同じフレームに収まっていないのが少々気になりますが…それがどんな意味のある演出なのかは今のところ判然としません。

 この状況下においてナナリーの生命が保たれている可能性はひとつしかないように思います。それは、コード能力者VVが、神根島で見せた、件の生きろギアスの現場からルルーシュたちを瞬間移動させた能力ですね。この力を、おそらくは皇帝も受け継いでいる。その効果範囲や発動条件は明らかになっていませんが、明らかになってない以上都合の良いように条件が整っていることにすることは可能に思います。この状況で、シャルル皇帝が東京租界の近郊までやってきたことにもなんらかの意味があると考えることも、可能かと。

シャルルがナナリーを助ける意味

 しかしそれでも、かつてユフィの死に際して高笑いをしたシャルルが、例えば肉親の情でもってナナリーを助けるというのは考えづらい。そもそも租界でフレイヤが炸裂するなどという状況を皇帝が予見していたとも思えないですし。では皇帝がナナリーを助ける可能性はあるのかないのか。結論を言うと、皇帝はナナリーを人質として確保に動いていた可能性がある。それは、ルルーシュ、シャルル、シュナイゼルという三つどもえ状況でルルーシュを手駒として自由に扱うのにナナリーは人質として非常に有効なんですよね。ナナリーを手元に置いていることをルルーシュに伝えれば、ルルーシュはあもうもなく従わざるを得ない。それは、1期のブラックリベリオンでVVが取った行動と近似したものでもあります。可能性としては十分あり得ると言えるでしょう。

これは願望に過ぎない

 しかし、これはあくまで願望に過ぎない…そうであったら、そうあって欲しいというただの幻想でしかない可能性もある。そもそも、ここまで完全にナナリーの痕跡が消えてしまった以上、仮にナナリーが既にこの世にいなくても、ルルーシュはナナリーの幻影に取り憑かれていいようにシャルルやシュナイゼルたちに踊らされてしまう可能性すらある。それは、ナナリーが生きていると信じたい視聴者の心を弄ぶものでもあるが…。

 ナナリーの生死が判然としないという状況に振り回され、幻影を追って全てを裏切り、捨て去るという構図はそのまま1期のブラックリベリオンの反復でもあります。そしてその時同道したCCは、今はその記憶も失い何も自らの意思を持たない存在となってしまっている…もし全てを捨てて逃避行をしてしまった場合、それはCCをも置き去りにすることを意味するのかも知れない。一応、次回予告でCCと共にいる場面は提示されているが…。

 その幻影を信じるか否か。信じるとしてそれは本当にルルーシュにとって幸いなものなのか。それは視聴者に課せられた試練、なのかもしれません。

*1:今までコードギアスという作品では重要人物の死はほぼ全て具体的描写を伴って描かれている…例外はクロヴィスとシャーリーの父くらい、かな