C.C.はルルーシュの名とともに生きる

“一人じゃないだろ。俺たちは共犯者。お前が魔女ならば俺が魔王になればいいだけだ”

 1期最終話でのルルーシュのセリフ。永遠の孤独に耐えかねて死を望んでいた不死の魔女C.C.に対して、あまりにも幼くも純朴な申し入れ。この時は知る由もないのだが、C.C.の立場からすれば、ルルーシュが魔王になるというのは不死の能力を受け渡し自分が死ぬということ。つまりこの時点でのC.C.の望みそのものなんですよね。

 だからあるいはルルーシュがシャルルのコードを継いでいれば2人で永遠をともに生きていけるのに、という妄想が膨らむわけですが…しかし、ゼロレクイエムによってルルーシュが死んでしまっていても、考えようによってはC.C.は孤独から開放されているんですよね。

魔王ルルーシュという名

 というのも、ルルーシュとスザクが成し遂げた世界征服という覇業によって、この世界でルルーシュの名を知らぬものはいない…そしてその名は歴史上の大人物として、例えばカエサルやナポレオンらと肩を並べて時を越えて永遠に語り継がれていくんです。ルルーシュの名は時の流れの中で決して忘却される事なく、その名と足跡は世界にずっと残り続けていくんですよね。

 もちろんそうやって語られていくルルーシュの像というのは肥大化したり矮小化されたりした実像とはかけ離れたものかも知れない。だけどルルーシュという少年は生前からその素顔をC.C.以外の誰にも見せずに誤解や勝手な虚像を重ねられてきたわけで…そういった世界に散らばった様々なルルーシュの像に触れる事は、C.C.にとってはまさにそこにルルーシュと共にあるようなものなんですよね。

 自分以外の誰もがルルーシュの名を忘れないでいてくれる。そして素顔のルルーシュを知っているのは自分だけだということ。そうゆう世界で生きるのは、決して孤独ではないと思うんですね。そしてそれはルルーシュが魔王になるという約束を果たしたが故に訪れた世界なんですね。
ギアスという王の力は確かに人を孤独にする。少しだけ違ったか。なあ、ルルーシュ
 この台詞にはそんな気持ちがこもっていたのかな、なんてことを考えたりしています。