ニコニコ生放送改革案を考えてみた。

ニコニコ生放送の新仕様が酷すぎる - 未来私考
 文句をつけるだけでも何なので代案を考えてみた。ポイントは、ユーザーが支払いをする機会を増やすこと、関係者の誰にも損をした気分を与えないこと。この2点。その上で4つの提案をしてみる。

  • プレミアム会員には先行入場&再入場権を与える
  • 一般会員向けに1日プレミアム権/ニコ生優先権を105円程度で販売する
  • 1万人枠とは別に回線のリッチなアリーナチケットを事前販売する
  • スポンサーが選択できるオプションを増やす
  • プレミアム会員には先行入場&再入場権を与える

 プレミアム会員の満足度を高めるための施策。これは先ほどの記事の最後に書いた通り。ニコ生を積極的に見たい層は放送開始前にパソコンの前に着席するのは必然な上、現状の一般/プレミアム会員の比率からいって(そして実際の経験上も)確実に入場出来る。途中入退室の自由さえあれば今回の仕様変更とほぼ同等の恩恵を受けられる。途中入場したいというニーズがそれほど多いとは思えないのでこれで十分かと。

  • 一般会員向けに1日プレミアム権/ニコ生優先権を105円程度で販売する

 一般会員をプレミアム会員に誘導するための施策。プレミアム会員にはなる気はないけどニコ生は確実に見たい人向けのお試しサービスを導入することで、お金を払うことへの抵抗感を薄めてもらう。支払いはニコニコポイント/携帯支払いで。現状月に5、6回ほどニコ生は行われており今後も増加が見込めるため、ニコ生ファンは自然にプレミアムに移行していくことが期待できる。

  • 1万人枠とは別に回線のリッチなアリーナチケットを事前販売する

 より積極的にニコニコ動画に支払いしたい人のための施策。イベントの種類にもよるが、試写会やライブ中継等はお金を払ってでも見たいという人は少なくない。また現状のニコニコ生放送は回線の負荷が大きすぎて快適とは言い難いものがある。500円のチケットを2000組販売できれば100万円の売上。これはニコニコ生放送の1万人枠30分のレンタル代と同等の金額(参考記事)。ニコ生の配信システムの優れた点は接続数に併せて柔軟にサーバー構成を変更できること(参考記事)。この利点を生かさない手はない。5分の1の接続数で同程度の予算が組めるならばかなり安定したサービスを期待できる。

  • スポンサーが選択できるオプションを増やす

 スポンサーから見てニコニコ生放送のバリューを高めるための施策。例えばソフトバンクの新商品発表会のようなイベントの場合は、有料チケットを販売しても売れる見込みは低い上に、視聴者が一般会員でもプレミアム会員でもスポンサーサイドのメリットは変わらない。そうゆう場合は一般会員とプレミアム会員の利便の差をあえてつけない(先行入場のみ)オプションを選べるようにする。逆にライブのような視聴者のモチベーションの高いイベントの場合は無料1万人枠を縮小してプレミアム会員専用枠などを設けられるようにする。あるいは有料枠の収入をニワンゴと折半して興業として成り立つようなプランも用意する。

 ニコニコ生放送ニコニコ動画のサービスの中でも収益に繋がる可能性がもっとも高いものだと思っている。だからこそ、その取り扱いは細心の注意が必要だし、ブランドとしての価値を傷つけるような施策はするべきではない。ユーザーもスポンサーも現状のニコニコ生放送に概ね満足しているということを忘れてはいけない。今できることはそのままにプラスアルファの体験を得られる商品作りを考えてもらいたい。

 ニコニコ動画のユーザーの大多数は「お金を出せない」若年層が主体だ。彼らを煽っても逆さに振っても残念ながら収益に繋がる可能性はとても低い。その一方でもっとお金を出したい、なんとかしてニコニコ動画を存続させたいと願っているヘビーユーザーも、少なからずいる。プレミアム会員20万人を多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだが、特別な差別化を図っていない半年前の段階と、様々な差別化施策を行った今と比べてほとんどプレミアム会員が増えていないという事実はもっと重大視するべきだと思っている。プレミアム会員の多くは、プレミアムサービスに価値を感じているのではなく、ニコニコ動画そのものに対価を払うべき価値を感じている(そしてその数は半年前も今も変わっていない)そう考えるべきなのではないか。であるならば、収益増加のためにすべきは何なのかということは自ずと見えてくるのではないかと考えるのだが、さて。