ニコニコ動画は実は既に黒字になっている?

ドワンゴ下方修正、17億円の最終赤字に 「ニコ動まだ貢献せず」 - ITmedia NEWS

 この記事を発端にニコニコ動画がまだまだ赤字らしいぞ、という論が各所で展開されているのですが、この数字自体は9月末のニコニコ小会議で出ていたものから特に新しい話は何にもでてないんですよねえ。ただ単に、結果こうなりましたという報告でしかない。

ニコ動930万会員に 有料会員減、黒字化策は - ITmedia NEWS

 問題は9月末までの業績ではなくて、収益拡大策を大々的に打ち出した10月以降の収支がどうなってるか、なんですよね。ということで、今まで出ている情報から軽く試算をしてみました。

平成20年9月期第3四半期決算説明会資料
 数字が拾えなったのですが、8月の第3四半期決算説明会で配られた資料より。

 この時点で広告収入がだいたい4000万円/月となっています。ここから単純に広告枠を3.5倍にしてそれが完売したとすると広告収入は約1億4000万円。アフィリエイト収入2000万円、有料会員収入1億円が横ばいだったとして2億6000万円の売上になります。

 支出は2億8000万円付近で横ばいになっており、最近の一般会員の不評を聞いても、設備投資費はかなり削減されているものと推測され、これを越えることはないと考えられます。そうすると赤字額はせいぜい2000万円程度で収まってる計算になります。

 しかもニワンゴは10月からニコニコ生放送の販売という新しい収入源を確保していたり。(参考資料)30分100万円から。10月に行われた生放送でいうと、ストリートファイターオンライン生放送(参考)、長妻議員討論会(参考)、ソフトバンク新商品発表会(参考)などがアーカイブされていない(タグで検索:ニコニコ生放送)のでおそらく枠販売による生放送なのでしょう。11月に入ってからは更に生放送の数は急増していますね。これで約1000万円の売上を確保している。

 ということで、実のところ、あと1000万円くらいで収支トントンになるところまでは来てるんですよね。これでニコニコポイントがちゃんと回りだせば11月中にはおそらく単月黒字に到達する見込みが高い。このところの運営の必死っぷりは何が何でも今月中の黒字化の目処、そしてそれを会員1000万人突破の報と一緒に12月4日のニコニコ大会議(冬)で発表できる体制を整えるため、なんじゃないかなと思っています。

 しかしこうして考えてみると本当に経営のプロというのはすごいなと思いますね。3ヶ月前まで費用が売上の2倍だった会社が曲がりなりにも収益が見込めるレベルまで押し込まれ(追い込まれ?)ている。夏以降ニコニコ動画が政治アリーナ化しているのも、黒字の見通しが立っているからこそ、グレーな部分を残しているニコニコ動画に変な横槍が入らないようにするための牽制なんじゃないかという気もしますね。

 この推測が当たっているかどうかは来週14日に開催が予定されているドワンゴの決算説明会(参考)で明らかになると思います。さて、どうでしょう。