ニコニコギフトというのを考えてみた

「一億総クリエイター」という勘違いに至る道のり (1/3) - ITmedia NEWS
http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20081205/1228472025

 このあたりを発端に、動画制作者に報いるにはどうしたらいいのかという議論が最近また活発になっているようですので、以前Twitterでネタ出ししたアイデアをちょっとまとめてみました。

UGC制作者に報酬は必要?

 Twitter等でよく話がでるのですが、ニコニコ動画上で実際に動画制作をしている人の多くは、評価されるのは嬉しいけれども、それで別に対価を得たい訳じゃないんですよね。好きでやってて、それを喜んでくれる人がいればそれでいい。むしろ法的なグレーゾーンに踏み込んでいる場合もあるので、それに目をつぶってもらえるだけでありがたい、という。実際ニコニコ動画は今までそれで回ってきてますし、これからも基本的にはそれで良いんだと思います。もしものづくりで食べていこうと志すのであればニコニコ動画上だけでの活動ではなく他に出口を求めるべきで、その道は既にあるし、今後も増えていくと楽観的に観測しています。

良いものには対価を払いたいという消費者の気持ち

 その一方で、素晴らしい作品を見て、それに対して何か報いたい、言葉以上の感謝を伝えたいという受け手の気持ちもあるのも事実です。これは単純に制作者さんの糧になるという意味だけでなく、良いと思ったものには対価を払うのが当たり前という気風を育てる意味も大きい。例え微々たる額であっても心付けが簡単に出来る仕組みはあってよい、あって欲しい、そう考えています。

 それで以前Twitterでこんな発言をしたのですが、わりと受けが良かった。

例えばAfterEffectsをウィッシュリストに登録しておいて、誰でも自由にニコニコポイントを投げ入れれる。満額達したら作者の元に届く、みたいな。もちろん作者自身がポイント振り込んでもおk
http://twitter.com/gigir/status/1006718807

 これをもうちょっと具体的に考えてみようと思います。

ベースはニコニコ市場

 まずベースとしてニコニコ市場を考えます。ニコニコ市場は動画視聴者が自由に関連すると思う商品のアフィリエイトリンクを貼ることの出来るニコニコ動画のサービスです。そのまま関連商品を結びつけたり、動画上のネタに対応した商品を探してきて貼ったりと、コンテンツの一部として機能している面白サービスですね。この市場に登録された商品は、動画投稿者がロック出来たりするのですが、更にそこに欲しいアイコンをつけられるようにする。コレ欲しい!というアピールですね。

 ウィッシュアイコンの付いた商品にはニコニコポイントを振り込むフォームが現れる。これに数字を打ち込んで投げ銭。みんなの力が集まって満額達成したら、投稿者の元にニコニコ動画の名義で商品が送られる。概要としてはこんな感じ。

 ポイントは、市場を通じて投稿者と視聴者の間でコミュニケーションが取れるということですね。動画上のネタに誰かが反応して市場登録、それを投稿者がロック、それに乗じてポイント振り込みという流れ。ネタとして面白かったり、投稿者の切実さが伝わってきたりすればポイントの集まりは良くなるでしょうし、動画と関係のない商品をロックしてもあまり受けないでしょう。このあたりに駆け引き、ゲーム性が生まれると嫌味なく受け入れられるんじゃないかななんて考えます。

考えられる問題点

 とりあえず考えられる問題点としては、商品目当てに違法性の高い動画や他人になりすました動画を投稿する人が出てくる可能性ですね。とはいえこれは直接の取引ではなく運営を間に挟んでワンクッション置きますので、その段階で動画の違法性はチェック可能かなと。取引確定前に違法通報や削除があれば、取り消してポイントは返還という形にすればよほど巧妙でない限りは事前にストップかけられるかなと。そもそもリスクやコストに対してリターンが小さいのでそれほど悪質なものが出てくるようにも思えないですしね。

 一人の熱心なファンが何でもかんでもポイントつぎ込んで投稿者がプレッシャーを感じてしまうというようなことも考えられるかもしれません。これは1動画に対する振り込み可能ポイントに上限を設けるとか、そういった方法で対処したほうがよいかもですね。

みんなニコニコ出来る仕組みを

 これが実現すれば、投稿者はネタ的に美味しい商品をゲット出来てニコニコ、視聴者は少額で投稿者に報いることが出来てニコニコ、市場で商品が売れて関係者もニコニコ、アフィリエイト収入も入って運営もニコニコと、わりとどこにも迷惑のかからない形でみんな幸せになれるんじゃないかな、なんて思ったりするのですがどうでしょうね。何より今の仕組みをほとんど流用する形で大がかりなインフラを構築する必要もないですし。

 UCGの出口論とはまた別の観点として、こうゆう還流があってもよいのではないかな、と思い改めて提案させていただきました。