はてなホットエントリははてなダイアリー以外のブログを拾うべきではないのかもしれない
この話は書こうか書くまいかずっと迷っていました。先日のエントリにも書いたが、私ははてなブックマークというサービスがとても好きです。単純に便利だという側面もあるし、自分の興味の幅を拡げてくれるという効果もある。ブログ運営者としては、上手く利用すれば効果的に読者を募ることが出来るという面も、もちろんある。だからもっとみんなが利用してくれれば嬉しいし、ネガコメ問題なんかではてなブックマーク自体が悪し様に言われるのは悲しい。
人の口に戸は立てられない
はてなブックマークの面白いところは、ウェブ上のありとあらゆるページにメモ書きを残せることです。話題になっているページに対して他の人がどんな視点を持っているのか、自分が何かを感じたページに以前立ち寄った人たちがどんな感想を持ったのか、そういったものが一覧で見渡せるというのは広大なウェブ世界を渡り歩く上でとても頼りになる。中には見るのも不愉快なラクガキもあるかもしれないが、そういったものも過去の発言を全て見渡せるようになっていることで、一定の責任が発生するようにはなっており、よほどの行きすぎたもの以外は問題視するものでもないとは思う。世の中にはいろんな人がいて、どうしても通じ合わない人と遭遇してしまうのはウェブの日常だし、そういったモンスターに正面から衝突するよりは、素性が分かる上に直接の火の粉の及ばないはてブのほうがまだマシだとすら言えるかもしれない。はてブでネガコメを封じたところで、そういったものを好む人間はどこかで結局発散してしまうものだ。人の口に戸は立てられない。
はてなは周知義務を果たしていない
そうはいってもはてなブックマークは怖い、そうゆう印象を持っている人が多いのも事実で。それは、そもそもとしてまずこういったSBM(ソーシャルブックマーク)というサービスが存在することが周知されていない、にも関わらずちょっと注目があつまると頼みもしないのにポータルサイトの目立つところにエントリが掲げられ、まったく想定外の大量の来客とコメントに見舞われる羽目になる…それで疲弊して閉鎖してしまったブログというのが過去どれくらいあるのかは調べてないので分からない―基本的にブックマーク禍というのは3日もあれば自然に収まってしまうはしかみたいなものなので印象ほどには後に引くような事例も少ないのでないかと思う―のだが、ともかくそれはご免被りたいというのは心情としてはよくわかる。
それに対してウェブにある以上はどんな反論が来ても全て自己責任で、というのは少しばかり乱暴ではないかと思います。ブログにもブログ主にもそれぞれキャパがあって、本来想定出来る以上のキャパシティを越えたアクセスに見舞われるのはやはり災難以外の何物でもないですから。そしてこの本来以上の集客を呼んでしまうのは、はてなブックマーク自身の機能ではなくて、はてなの注目エントリ、ホットエントリというサービスゆえなんですよね。
自由にアクセスできることの意味
私がこの問題を意識したのは、先日の梅田望夫さんのTwitterでの発言を端に発した騒動を目の当たりにしてからだ。何気なくポストされたであろうTwitterでの1発言が前後の文脈も関係なく*1何百というブックマークがされ、何十という関連エントリが掲げられ元の発言の意味性が完全に消尽してしまうほどオモチャにされ、うち捨てられた。もちろんこれは梅田望夫という、著名でしかもはてなと関わりの深い人物の発言だったことが大きい。がしかし、いくらオープンな場での発言とはいえ、まったく油断しきった状態で発せられたであろう言葉をわざわざ喧伝して衆目に晒してオモチャにするという行為に果たしてどこまで正当性があるんだろうかと考え込まずにはいられなかった。
もちろん責任のある立場の人間はあらゆる場での発言に気を配るべきかもしれない。だけれども人間誰だって油断もするし気が抜ける瞬間もある。そういったものは鍵のついた家の中でだけしてくれというのはあまりに世知辛いように思う。
仮に、もしあの発言が、ブックマークされてもはてなのホットエントリに掲載されなかったら、どうなっていただろう。Twitterでの発言ということでTwitterの一部で口コミ的に広まったかもしれないし、別途誰かがエントリを立てて梅田望夫がこんなことを言っていたというエントリを書くかもしれない。そのエントリが注目を集めて間接的に盛り上がったりすることもあるかもしれない。どうであれあそこまで急激に加熱して消尽し尽くされるようなことはなかっただろうというのは間違いないところだと思います。Twitterという従来のウェブとは違う規範意識が働く場で立場を離れて発言したつもりが、自社のサービス故にウェブ従来の規範に取り込まれて立場を離れることが叶わなかった悲劇ともいえるかもしれない。
これはTwitterに限らず、多くの個人ブログが晒されている状況でもあるんです。はてなブックマークの性質を理解して、あえてそのサービスに乗っかるという選択をしたのなら、それはまったく問題ないんです。選択権が与えられていない、サービスの性質について十分な周知が行われていないことこそが、はてなブックマーク禍の本質的な問題だと考えます。
はてなブックマークの魅力をもっと信じるべき
私自身はてなのサービスに面白みを感じて数あるブログサービスの中からはてなダイアリーを選択した人間です。そして本ブログが一定以上の注目を集めることが出来たのもはてなブックマークというサービスがあったおかげだと大変ありがたく思っています。はてなブックマークは、しっかりと機能を説明することさえ出来れば本来とても魅力的なサービスなんです。
改めて提案します。はてなの注目エントリ&ホットエントリというサービスは、はてなダイアリー及び提携のニュースサイト等以外からは記事を拾わないように、そして他のブログサービス利用者ではてなホットエントリに掲載されたい人は個別に登録出来るようにすべきなのではないか、と。ホットエントリに拾われるというのはブログの注目を集めるのにとても効果的ですから、登録してでも参加したいという人は少なからずいるはずです。はてなはその魅力を
喧伝することにもっと労力を払っても良いと思います。
このほうが、はてなブックマークの仕組みそのものをいじったり、ネガティブコメントを個別に封殺しようとするよりもずっと建設的で実効性のあるブックマーク禍対策になるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうね。
*1:実際問題としてはあのポストには元々前後の文脈は存在してないが