2009年はニコニコ動画にとってどんな年になるのだろう
松の内も明けてしまいましたが、今更ながら今年一年の展望などを。
ニコニコ動画の運営について
2008年はとにもかくにもニコニコ動画の年だった。莫大な赤字を垂れ流しつつも会員数を伸ばし続けて12月にはついに1000万会員突破。ニコニコ動画の運営は大丈夫なのかという議論も巻き起こったものの、実のところ私はもうその心配はしていなかったりします。大会議（冬）の放蕩ぶりに呆れたというのもあるんだけど（笑）、ニコニコ生放送の拡大や、更なる会員数獲得を掲げる等、高コストになることを恐れていない姿勢を見るに、ああ、ドワンゴは腹を括ってるんだな、と。
ところで、YOUTUBEの角川アニメチャンネルの広告収入が月間1000万円を越えたことがニュースになっています。
いろいろと情報が錯綜していますが、これは動画再生ページ上のクリック広告からの収入が1000万円を越えた、という解釈でよいんでしょう。角川が公認配信している100足らずの動画だけでこの額だとしたらなかなか大したものかもしれません。ニコニコ動画の現状の広告収入が月額6000万円程度ということを考えると、動画と広告のマッチングを上手くすればまだ大きく伸びる余地があるのかもしれません。
もっともニコニコ動画の場合、プレミアム会員費、広告収入、アフィリエイト収入と収益の柱が３つあるのも安心感のあるところですね。特にアフィリエイト収入に関しては他の動画共有サイトにはない強みに思います。現在毎月約４億円の売上を誇るニコニコ市場。一部でニコニコ動画ユーザーは金払いが悪いような話も出ていますが、この数字を見ると案外そうでもない気はしますね。
ニコニコ動画上のクリエイターの未来
ニコニコ動画上のクリエイターへの還元というのも次第に形が見えてきたようにも思います。主にVOCALOID関連の話になってしまいますが、昨年は初音ミクを用いた楽曲がメジャー流通網に乗って少なからぬ売上を上げるものも出てきました。また楽曲だけでなく絵や映像の才能を買われて書籍が出版されたワンカップPやなぎみそさんのような例も出てきていますね。
ワンカップPファンブック「子猫のパヤパヤ」
posted with amazlet at 09.01.05
また、これはニコニコ動画が始まった時から言われていることですが、単純に金銭に換えられない創ったものをそのままダイレクトに評価されることを喜ぶ声もとてもたくさん出てきています。
おいでよ、ミクの歌うほうへ - 新年によせて - - ペンギン村役場 - PENGUINS PROJECT official blog -
評価されるのはその中でもごく一部だけという話もありますが、最近は一つの動画の中でも分業化が進みつつあり、なんらかの才能のあると思っている人が飛び込んで自分を試すための敷居はとても低くなっている。今年も新たな才能がたくさん発見されることを期待しています。
各種企業が参入したニコニコチャンネルは、今のところ大きな盛り上がりに欠けるのは事実です。この辺りはとりあえず参加してみただけでニコニコ動画の特性を把握しきれていない部分が大きい気がしますね。今後生放送やユーザー作成動画を上手く利用するチャンネルが出てきた時にどうなるか、というのが注目したいところですね。
ニコニコ動画と政治
その一方で政党との接近はいろいろな議論と盛り上がりを見せました。大晦日には民主党の小沢党首がニコニコ生放送を使った年越し生中継を敢行。これに対してもいろいろな意見が出ていますね。
http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20090102/1230854537
http://d.hatena.ne.jp/azuki-glg/20090102/1230858872
ニコニコ動画によって政治が身近になる面がある一方、現在以上に政治が人気投票化してしまう可能性や、特定の政党に利するようなバイアスがかかる危険性もあり、このあたりは注意深く見ていく必要があるようには思います。
そのあたりのことも含めて
ニコニコ動画上でジャーナリズムの未来の形を育てたい、夢みたいという松浦晋也さんのこのエントリには強く共感します。広告を出稿する企業、インフラの整備や法規制を握っている政治、そして一般のユーザーが良い形でバランスをとっていけるような未来となればよいのですが。そのためにも選挙で１票と同じくらいの感覚でニコニコプレミアムに加入というのも考えても良いんじゃないかなんて思ったりもしています。
