ニコニコにおける「祭り」の効用と副作用
id:gouzouさんがまた強烈なまとめ記事をあっぷしましたね。
2007年初頭〜2009年3月の間に開催されたニコマス(ニコニコ動画アイドルマスターMAD)界隈の祭りの総覧記事。それにしても途方にくれそうになるほどの量です(笑)。「祭り」という風習は他のジャンルでも見られますが、ニコマス界隈は特に祭り好きでよく知られていますね。ほぼ毎月あるアイドル誕生祭、DLC祭りを筆頭にほとんど1年中なんらかの祭りをやっているという印象があります。
祭りを行うのは「埋もれ問題」へのひとつの回答という側面があって、ジャンルが安定化して視聴者の好みや贔屓が固まって、特定のうp主以外の動画が伸びないという問題を少しでも解消しようとしたとき、ひとつのテーマで括られた祭りがあると、新人もベテランも大御所も底辺も関係なく横断的に動画を見てもらえるという効果があるんですよね。実際祭りに参加することで、ノーチェックだったうp主の魅力に気付いてファンになるということはよくあるんですよね。
とはいえ、ここまで祭りが多いと逆に一見さんにはどこから入っていいのか良くわからない、みんな分かってるのが当然みたいな雰囲気もあってのこのこと後追いで入っていくのがめんどくさいという気分にもなりがちなんですよねえ。祭り自体が埋もれてしまうというか。それは主催する側も重々承知しているとは思っていて、例えば今年1月に行われたニコマス過去最大のお祭り「アイマス新年会〜27時間無礼講SP〜OP」なんかでは、ニコマス界隈以外の人材にも積極的に呼びかけてファン層を広げようと努力をされていたんですが…いかんせん規模が大きくなりすぎて祭り全体をフォローすることが出来なくなってきてるんですよね。
KAKU-tailSPの挑戦
そんな中、先日3月19日〜21日にかけて行われた「iM@S KAKU-tail Party SP」が一見さんに向けた工夫を随所に凝らしていて、なかなか素晴らしかったのでちょっと解説してみようかと思います。
KAKU-tailPartyは参加者がランダムに割り振られたお題に沿って趣向を凝らした動画を作り、それを一組にまとめて公開するというバラエティ色の強いイベントで、界隈に詳しい人は予め公開されたテーマと参加者から動画の内容を推測して(&実際の動画とのギャップを)楽しんだり、あるいは詳しくない人は今まで見たことのなかったうp主の動画をカタログ的に総覧する機会にもなる、もともとなかなかよく出来た祭りなんですよね。
その面白さと認知効果の高さもあって、回を重ねることに参加者が増えて、第1回は20人だったのが3回目には150人参加という超巨大イベントに発展していったのですが、ここでも先ほどもいった規模の問題が出てきて、とても全部は追いきれないという人が多発する事態になってしまった。そこで4回目となる今回はSPと銘打ってあえて参加人数を60人に絞り込んで、その上で更にいろんな仕掛けを仕込んできてるんですね。
うp主の紹介に注力
まず最初に上手いな、と思ったのが、本編動画公開前のインフォメーションとして、参加Pの経歴紹介動画を5日間に渡って公開。これで普段P名を気にしていない人もそれぞれのうp主の特徴を掴み易くなってるんですね。過去作のポイントを切り出しての短評入りで、これを作るだけでもどれだけの手間がかかってるんだ?と考えてしまいます。
お祭りへの導線確保
そしてこれは新規のお客さんのお祭りへの誘導を目的としてるんだと思うんですが、開催期間中の単品アップが推奨されてるんですね。単品アップというのは参加作品をお色直しするなどして個別に投稿しなおす行為で、従来はお祭り終了後に各うp主の判断で行われていたのですが、今回の単品アップは参加作そのままを開催期間中に投稿ということで、恐らくは主催者側の仕掛けでしょう。
実際いくつかの単品アップ作品はランキングの上位に食い込んで存在感をアピールしていますね。どうしても内へ内へと意識が働きがちなお祭りをなんとか外部に発信しようという主催者の心意気を感じます。
特大級の仕掛け
特に最終日最終組に参加したこの動画には度肝を抜かれましたね。しーなPとわかむらPというニコマス界隈2大巨頭の夢の競演。それをシークレットゲストとして、しかもお題が「奇跡」とかやりすぎだろうというくらいの仕掛けっぷり。作者名でお題クリアとかいったいなんなのw。でも実際これくらいの大型の爆弾を投下しなくちゃ界隈の外までは話題として響かないということでもあるんですよね。元々は「埋もれ」の救済から始まった企画であろうKAKU-tailPartyとしては複雑な思いを抱く人もいるかもしれませんが、あえて派手な仕掛けに挑戦したことに敬意を表したいですね。
その他にもP名を強調したニコ割バナーや気合が入りまくりのニコニコ大百科記事など、これでもかというほどの仕事っぷりで、外に向けて発信しようという意識の強さには改めて頭が下がりますね。ニコニコ大百科はちょっと気合が入りすぎて読み物としては読みづらい(このあたりも規模の問題と絡んできますね)部分があったりして、それは次の課題といったところでしょうかねw。
最近、内向きになったコミュニティは衰退するといったような論調の話もそこかしこであったりしますが、こういった問題意識を持って行動できる人たちがいる限りはまだまだ安泰という気もしますね。