東のエデン 視点をめぐる演出
ます…ぞえ…
ということで、新型豚インフルエンザの報道の影響で後半10分ほどを録画し損なってしまいました…。かなり凹んだんですが、気を取り直して今週も読んでいきましょう。
今回の舞台となった豊洲のシネコンはおそらくはここですね。
ユナイテッド・シネマ豊洲 | 三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲3F | 映画館
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前回前々回と映画が重要なモチーフになっていることを書いたのですが、今回はそのものずばり映画館が舞台となりました。物語中で咲がリクエストした、イルカとダイバーが出てくるフランス映画といえばこちらです。
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オシャレ映画の代名詞として知られるグラン・ブルーですが、愛し合いながらもお互いに見ている世界が違いすぎるが故に交わることが出来なかった悲恋の物語でもあります。この、見ている世界の違いによって成就しない恋愛というのは、キャラクター原案である羽海野チカ「ハチミツとクローバー」の中核テーマであったりします。なかなか趣深いですね。今回他にもドーンオブザデッドやニューシネマパラダイスも引用されていましたが、あえてタイトルを伏せて引用されたこのタイトルのほうにより強い暗喩が込められている、そんな気がしますね。
ちなみに公式サイトで掲載されているポスターの映画はそれぞれモチーフはヒッチコックの「裏窓」、ディズニー映画「リトル・マーメイド」、名作西部劇「明日に向かって撃て」でしょうかね。リトルマーメイドはちょっと自信がないですが…。
http://juiz.jp/blog/kasuga/#000128
視点はどこにあるのか
ところで、東のエデンを注意深く見ていると、そのシーンが誰の主観によるものなのかという視点の描き分けが実に細やかに行われていることに気がつきます。何気ない風景の長回しシーンでも、よく見るとそれを見ているのが誰かという仕草がちょっとずつ挟み込まれている。例えば3話の冒頭シーンだと、周囲の様子を映すカットの直前に、咲の目線を示すカットが挟み込まれている。また、移動時の俯瞰シーンであっても、周囲を伺う咲の仕草を書き込むことで、そのシーンが咲の主観に基づいていることが示されている。見るものの視点、心理状態によって世界は如何様にも姿を変えて見えてくるという示唆は豆柴の登場シーンにもその一端が現れていますね。
こういった演出が、ほとんどすべてのシーンにおいて丁寧に行われているんですね。そのシーンを見ているのは誰なのか、その時彼や彼女の意識はどこにあるのか。そういったことに注意してみると、より深くこの物語を堪能するための一助となるかもしれませんね。