「迫撃!トリプル・ドム」を読む

 宇宙から黒い三連星が降りてくる今回、彼らがかつてルウム戦役レビル将軍を捕虜にした勇士であることが語られたりしていますね。その三連星とマ・クベのやり取りがなかなか興味深い。豪放磊落な風情でなれなれしく接するガイアを疎ましく思うマ・クベの態度が出てるんですよね。細かいことは気にしない戦バカの3人をバカにしているのが伝わってくる。

 内通者エルラン中将と、レビル将軍のやり取りにも似たような気分も出ていて、長らくこのエルラン中将という人が、何故こんな地位まで上り詰めたのにあえてこんな安っぽい裏切り劇に加担してるのか疑問だったのですが、この人、つまるところレビル将軍が嫌いで嫌いで仕方がなかったんでしょうね。ホワイトベースが戦線復帰したことを無邪気に語るレビル将軍の横で、苦虫を噛みつぶしたような表情をしているのが特に印象的なんですが、戦場において水を得た魚のように知略を巡らすレビルの、稚気というか、無邪気さがどうも癇に障ってしかたがないのかな。ともかく戦上手のレビルが足元を掬われる様が見たくて、利の薄い諜報工作を謀ったのかなと。そう考えると妙に浮き足立った、ツメの甘さもなんとなく納得がいったりもします。

 淡々と語られるマチルダとミデア部隊の追悼式。無力感から涙を流すセイラさんに対比して、アムロは心の中で強く叫びながらも、表面的には実は涙を流していない。リュウの死で、涙を流し尽くし、後悔という後悔をし尽くして、どれほど辛く悲しい出来事であっても、消して涙は見せない。その男のけじめのつけ方にまた深く感じ入りますね。