「オデッサの激戦」を読む

 あれよあれよと事態が進行していくオデッサ作戦。序盤のジュダックとエルランの捕縛劇がちょっとサスペンス調になっていて面白いですね。関係ないけど、ビッグトレーの上にちょこんと止まるGアーマーがなにかちょっとかわいい(笑)。

 なんだかドムをホワイトベースが引きつけていたおかげで戦況を有利に進めたみたいなナレーションが入ってますが、ちょっと簡単すぎて、本当かなあと思ってしまいますね(笑)。マッシュの仇討ちを誓い迫撃してくるドムに追い詰められながらも、何の理屈もなくあっさりと撃破してしまって、更に水爆ミサイルの起爆装置まで切り落とすというアムロの活躍っぷりもヒロイックすぎてなんだかフワフワした気分になってしまいます。それにしても、兵の(場合によっては自分自身の)命すら平然と戦争のコマとして扱うレビル将軍の状況判断は、確かに凄みはあるのですがどこかしか人間的に壊れた部分があるのかもしれないなあとも思わせるものもありますね。マ・クベのヤケクソも無茶苦茶ですが、ある意味こっちのほうが人間くさい。

 レビル将軍と握手するアムロの絵は、一年戦争の英雄アムロ・レイが誕生した瞬間なんだなあと感慨深いものがありますが、このめまぐるしい状況変化の中で、アムロとフラウの気持ちのすれ違いを積み上げていたりするのもまた妙味ですね。本来であれば正ヒロインと言ってもいいフラウが、アムロの中で次第に心が離れていくという…人気の影響なのか元々のプロットだったのかは分かりませんが、大河ドラマの中で少しずつ変化する人の心というのをしっかりと描いているというのは、やはり凄い作品です。