「復活のシャア」を読む

 さて、ベルファスト編…ミハル3部作の1本目です。ミハルについては正直あまり冷静に語る自信がない。それくらい深く心に刻まれ、幼い日に衝撃を覚えた…今になるまで繰り返し繰り返しガンダムを観ることになったのはこのエピソードのせいだといっても過言ではないくらい強く印象に残っています。

 こうして見返して見て改めて思ったのですが、ガンダムにおいて民間人に近い立場の人間の死が描かれることは実は少ないんですよね。第1話のサイド7襲撃のインパクトが大きいのでそうは思えないのですが、それ以降、ここまで民間人に近しい人間の死は、敢えていえばイセリナと、そしてこのミハルなんですよね。もちろんイセリナは軍人の恋人だし、ミハルに至ってはジオン軍のスパイという立場ですので完全に民間人とは言えません。とはいえ、戦争をしているのは軍人だけではないんだという気分が明確に表現されたのは、やはりこのベルファスト編がもっとも色濃いように思います。

 本編中で百面相を見せる少女、愛嬌はあるけど美人とは言えない、どこにでもいそうな普通の女の子、ミハル。弟たちを食べさせるためにジオンのスパイ…と言ってもせいぜいがほどほどの手当で定時連絡をこなす程度の役割の存在だったろう…ジオン側からは107号というコードネームでしか知られない存在。弟と妹と暮らす家だけが世界の全てのちっぽけな命。もっとも、まだこの時にはその後のドラマは顔を覗かせていない。だからこそ、余計に見ていてつらい部分もある…。

 ミハルの話はまた次の回でも書くとして、他の部分についても少し。正式に軍に組み込まれてやおら張り切っているブライトさんが…ほほえましくはあるけれども正直ちょっとうざいです(笑)。まだあれから特にみんなの信用を取り戻したような話もないまま、こうも力入れられても、周りはどう思うんだろうなあ…と、ちょっとカイの気持ちが分かりますね。

 格好良く戦線に復帰したシャアさんは、相変わらず兵の消耗には無頓着で、やっぱりこの人非情ですね。107号からの写真は、ホワイトベースだけが電波障害?で映っていない不思議な写真。これってどういうテクノロジーなんだろうって凄く不思議です。光学迷彩なら肉眼でも見えにくいはずだし、写真だけ狂うってのはどんなんだろうなあとちょっと考えてしまいますね。

 ボツ図面でジオン脅威のメカニズムを確認するアムロたちですが、ちゃんとゴックとかの情報も掴んでるみたいで一安心。連邦のスパイもなかなか優秀なようです。スポンサーの意向が色濃く反映されたような新メカの矢継ぎ早な投入ですが、水陸両用というジオンのコンセプトって、強襲揚陸を作戦の主眼に考えてるジオンにとっては実はすごく合理的ですよね。ここから地上のモビルスーツは水陸両用ばかりというのはやっぱり考証をしっかりとってるなあと関心したり。それよりも宇宙生まれで防水も完璧なガンダムのメカニズムのほうが驚異だなあ(笑)。