「ジャブローに散る!」を読む

 アマゾンの動植物の描写にやたらと力の入った29話「ジャブローに散る!」。アムロの脳波検査であるとか、後半戦に向けての伏線がいろいろと仕掛けられていますね。

 映画版のクライマックスであるジャブロー攻撃ですが、こうしてみるとわりと場当たりな作戦だったようにも見えますねえ。落下傘部隊の大半が上陸前に撃墜されていますが、その防衛網をかいくぐるための水陸両用モビルスーツだったはずで、それを馬鹿正直にガウから降下するズゴックというのはなんだかちょっとちぐはぐな気もしますね。このあたりは侵入路の発見を手土産に無理やり作戦参加した代償ということなんですかね。

 コックピットを叩き潰されて言葉もなく描写されるウッディ大尉の死に様はマチルダさんのそれとあえて重ね合わせてあるんでしょうね。アムロの制止も聞かずに本分を越えて特攻する様は本当に無駄死にでしかなくて…その心象を「分かるわ…男の人って」といってしまえるミライさんというのもなかなか人生経験の深みを感じさせますね。当時まだ18歳なんですが!

 カイの決意は、いったいこれまでにどれだけ脳内のミハルとの対話を繰り返してこの結論に達したのだろうと思いますね。単純にこれをカイの成長と取るのは実のところ馴染まないのではないかななんて思ってしまいます。カイとミハルが出会ってしまったことに意味を持たせるために作られた脳内のストーリー。とはいえ人間なんて、そんなものだとも思いますよね。マチルダの守ったホワイトベースを守るためというストーリーに殉じて死んでいったウッディ大尉もそうであったように。赤いモビルスーツを見て、シャアが追ってきた!と決め付けるアムロのように(これは本当だったんですが)。ミライさんが言うように男ってそういう生き物なのかもしれませんね。しかし本当に人生経験豊富でないと出ないセリフだよなーこれ。