ゲームと達成感

昨日の続き。MMORPGの面白さの核はテトリスに近いという話をしました。与えられた状況下で最適な行動を取り続けることそのものが強い娯楽性を伴うんですね。実際クリックゲームの狩りというのは特に目的もなく続けてみても、楽しいものなんです。その上、MMORPGとして他のプレイヤーとの協調プレイをしようとした場合、状況に1対1で最適行動がわからないと不確定要素が増えすぎてコミュニケーションコストが高すぎてほとんどの人がついてこれない。結果としてMMORPGの主流がクリックゲームになったのは歴史の必然なんですね。

さて、今回の主題はゲームと達成感。ゴール(エンディング)の設定がゲームにおいてどんな役割を果たすか、というお話。ご存知のように現代的なコンピューターゲームのほとんどにはエンディングというものが存在します。このゲームにおいて一定以上の習熟をしましたよという認定、あるいは制作者が用意したシナリオの終着を示すピリオドとしてスタッフロール等とともに演出されるのが一般的ですね。

この、エンディングが、MMORPGというジャンルではほとんど用意されてないんですよね。ゲームそのものが面白ければエンディングの有無なんてさしたる問題でもないだろうと思われるかもしれませんが、これが、実は非常に大きな意味をもってくる。プレイ中は問題がないんです。問題は飽きてきて、そのゲームを止めたあと、その時の印象にエンディングの有無というのが大きな意味を持ってくるんです。

つまりこれも与えられた仕事を完遂することの喜びの問題なんです。ゴールのあるゲームは、そこでゲームを終えても、余剰の遊びを続けるにしても、一定の満足感を得られるんです。実際コンシューマーのスタンドアロンRPGの多くはクリア後の余剰の遊びを多くとるように設計されてますね。
一方でエンディングを迎えないままゲームを終えるとどうなるか。そのゲームにプレイ中どんなに熱中していてもその評価は最低になってしまうんです。仕事を完遂せずに終わらせるのは仕事そのものに欠陥がある、完遂する価値のないものだと思い込もうとする心理が働くんですよね。

MORPGの多くがエンディングを採用しないのは、そこで区切りをつけてゲームを卒業されては困るという浅慮でしょうが、ゲームそのものが面白ければ多くのプレイヤーはそのまま余剰を楽しんでくれるものなんです。それが出来ないのはクリックゲームそのものが面白いという確信が作り手にもないからかもしれませんが…。