今こそリスキーエッジを全力でオススメする時

 祝!リスキーエッジ全話単行本化決定!

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 昨年まで近代麻雀誌上で連載され、全90話で堂々の完結をしながらも、何故か単行本が2巻までしか出ていない、このまま幻の名作となってしまうかと思われていたこの作品がコンビニ用の廉価版とはいえ、ついに全話単行本化が決定しました。早速1巻(単行本1・2巻相当)を確保して読み直しましたがやはり面白い。高レートマンション麻雀という現代の賭場を舞台にまさに刃物の上を渡るような緊迫感のある闘牌。原作はその筋に精通したトップ麻雀プロ荒正義。作画は人気・実力共に折り紙付きの押川雲太郎。これでなんで単行本でないのか謎で仕方なかったんだけど、どんな形であれ多くの人に届くようになったのは喜ばしいこと。人気なかったとは思えない、というか最高に熱く最高に面白いと思ってるんですが、贔屓の引き倒しですかね?未読の人は是非読んで感想聞かせてください(笑)。

 この漫画は本当に読みどころが多くて、何を一番に推すべきかとても迷うところなんだけれども、他の麻雀漫画と比べて際だって素晴らしいと思えるところは、麻雀は1人では出来ない、という当たり前すぎて誰も追求しなかった所にまで立ち返って勝負の世界を描いている点ですね。主人公吉岡光正は孤児の境遇から麻雀の腕一本で凌いできた天才肌の麻雀打ち。誰にも頼らず全てに逆らって、勝ち続けることで生きてきた男。ヒロインの井上春香は吉岡とは真逆に、全てを受け入れることで生きてきた女。出会わなければそれぞれ勝手に破滅していただろうこの2人が出会うことから物語は大きなうねりを上げていく。

 その類い稀な観察眼で獲物を完膚無きまで叩きのめしてきた吉岡は、しかし麻雀以外の暴力によってその全てを奪われてしまう。そしてそれすらも麻雀で取り返そうとして、手痛い敗北を喫してしまう。絶対の自信の拠り所だった麻雀でも負けてしまった、全てを失ってしまうわけだが、だからこそ見えてくる世界がある。それが、麻雀は1人では出来ないということ。

 反撃の第1歩として、賭場を開き客を集める。ただそれだけのことでもたった1人では決して出来ない。この、自ら賭場を開いて凌いでいくというのがもう他の麻雀漫画と一線を画しているわけなんですが、そこで必要とされる人との関わり合い方が、そのまま闘牌の在り方ともリンクしてくるというのがまた読んでいて痺れるところですね。まだ序盤の1巻の中だけでさえ、大友や佐野といったメンバーとの関係性の妙が本当に素晴らしい。

 そして吉岡の麻雀のスタイルの根幹である「あきらめない」ということ。どのような苦境であっても可能性を見出し、その1点に賭ける真のギャンブラーの矜持。それが貫かれた先に何を見せてくれるのか。単行本全5巻、5ヶ月連続刊行ということで、今手を出せば毎月続きをワクワクしながら楽しめること請け合い。配本量はあまり多くないようで、Amazonでも既に品切れになっていますが、麻雀漫画好き、真剣勝負好きなお歴々は読み逃す手はないですよ。今すぐコンビニにダッシュして確保しましょう。そして2巻の発売をともに待ちわびましょう(笑)。