リスキーエッジの描く2つの生き方

 待望のリスキーエッジ続巻が発売しましたね。それに併せて第1巻の増刷もかかっているようでめでたい限りです。入手しそびれた人は今からでもまだ間に合いますよ!

 今回はVS鎌田編、VS西浦&アキラ編、そしてVS寺田編の3編。寺田の登場で役者が揃いましたね。特筆すべきは寺田の強さの描写でしょう。吉岡がこの世界で師匠と呼べる人間という青柳と寺田。この2人を倒すことが物語の一つの帰着点であることがこの時点で組まれているわけですね。

 吉岡に負けた鎌田、西浦というキャラクターの場の躱し方もそうなんですが、この世界…裏のギャンブルの世界であっても、そこで長く生き続けるためにはリスクを取らない選択が必要ということを描いてるんですよね。鎌田も西浦も、プライドを捨てることで負けた責任を上手く回避している。逆に吉岡は、負わなくてもいいリスクを取ることで常にギリギリの勝負の世界に立って、刃を磨いている。その生き方の違いをあえて強調しているんですよね。

 そんな中で異彩を放っているのがやはりヒロインの春香で。寺田が吉岡を評して「麻雀は一流だが、人間の読みは3流だな」と言うのですが、この春香というキャラクターは麻雀のことは全く分からないけれども、人間の心の機微を読む能力に卓越してるんですね。吉岡の望むことを先回りしてその望みがどれだけのリスクがあってもそれを後押しする。それは、それ以外に吉岡光正という人間の信頼を勝ち取る方法がないことを知っているからなんですよね。

 リスクのない代打ちという立場で、吉岡は負けるかもしれない。負けた場合に吉岡は立ち直れなくなるかもしれない。そこまで読んだからこそ全財産を抱えたまま勝負に同行して、その場で精算するという行動があの場で出きるんですよね。

 リスクを恐れない生き方の先には破滅しかない。だけれども、リスクを恐れない生き方をする2人が支え合ったら、それはどうなるのか。リスキーエッジが描くのはそういう物語であるように思います。