「まおゆう」再発見から1ヶ月の記録

 最近熱烈にプッシュしているWeb小説『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』ですが、最近はてな界隈で場外乱闘的な盛り上がり方をしてちょっと誤解というか先入観を持ってしまう人がいそうだな、ということで、この1ヶ月の流れを少し整理してみたいと思います。

 まずはこのグラフから。

『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』を含むURL付きTweetの推移
http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/G/GiGir/20100525/20100525135911_original.png

 上記タイトルを含む、URLのあるTweetTwitter検索で抽出、目視で重複やブログ記事等へのリンクを除外した、本文へのリンクのあるTweet数の推移です。グラフを見ていただければ一目瞭然ですが、4月までは断続的に話題になっているものの、大きな盛り上がりは特に見せていなかったんですね。もちろん専用のまとめサイトが整備されて完結後もスレッドが継続する等、掲載当初から根強い人気があったのは間違いはないのですが、少なくともTwitter上で大きな盛り上がりを見せるのは4/8以降です。

 この4/8に何があったかというと、Twitterの@DecoponMAGI(以下でこぽん)さんが、@Gaius_Petronius(以下ペトロニウス)さんにこの小説を紹介したんですよね。それが、すべての発端となった。

 簡単に流れを説明すると、でこぽんさんがペトロニウスさんに紹介したのを見て@izumino(以下いずみの)さんが反応。更にそこから@kaien(以下海燕)さんに伝播。この2人が4/23日前後に紹介記事を書き、Twitter上での盛り上がりが最初のピークを迎えます。
 その後いずみのさんと相互フォロー関係にあった作家の海法紀光さんがタイムライン上で絶賛。そこからゲームライターの細江ひろみ(@VHosoe)さん、そして桝田省治(@ShojiMasuda)さんへと伝播したんですね。
 それと平行して以前から海燕さんのブログの読者だった作者の橙乃ままれさんがタイムライン上でお礼をして回るという事態が発生。結果としていずみのさんらと直接作品論などを交わすようになり、5/9に桝田さんと接触。書籍化プロジェクトが始まったわけですね。再発見からちょうど1ヶ月間の出来事です。

略称の変遷

 興味深いのは、事の発端からしばらくの間はこの作品の略称として「ドラクエSS」という言葉が用いられていたんですよね。ただ、Twitter上で拡散するにつれてどうもこの略称は実際の作品の内容に即してないんではないかということで便宜的に「魔王×勇者」「魔王勇者」更にひらがなに開いて「まおゆう」という語がゴールデンウィーク前後から用いられるようになってきた。とはいえこの略称は基本的にTwitter上だけのもので、この時期に書かれたブログ記事では基本的に略さないでそのままのスレッドタイトルを引用していて、「まおゆう」という単語は文中で用いられていないんですよね。

 「まおゆう」という単語がブログ界隈で注目されたのはレジデント初期研修用資料さんのこの記事が最初かと思われます。

http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/795

 実際のところ5/14にこの記事が投稿されるまでは「まおゆう」という単語はTwitter上でしか飛び交ってなかった。だから今「まおゆう」で検索してもこれ以降の記事しか出てこないのは当たり前なんですよね。スレッドタイトルそのもの、あるいは勇者「断る」なんて単語で検索するとまったく違う結果になったりします。

http://tsukurimono.seesaa.net/article/150283608.html
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20100524/1274676029

 このあたりのエントリで疑問に思われているのは、つまりそういうことなんですよね。

 ちなみに、グラフを見ると5/14前後を境にTweetでの本文への誘導が減っているように見えるのが気になるところですが、これは「まおゆう」という略語が浸透してきて、本文への誘導の際にもスレッドタイトルを省略する人が増えたせいでしょうね。Twitter検索でまおゆうで検索するとヒット数が膨大なためちゃんとした検証は取れませんが、誘導自体は変わらぬ勢いで行われているようです。

 このほかにもTwitter上でのハッシュタグ(#maoyu、#maoyu_b、#maoyu_heat)のTweet数の推移なんかも調べようかと思っていたんですが、ちょっとタイムアップ。簡単にデータを取る方法が見つからなかったのもありますが、誰かよい方法があったら教えてください(笑)。

 ちなみに書籍化プロジェクトですが、5月25日現在でまだタイトルも決まっていないような段階ですが、NHKBSのMAGネットが早くも嗅ぎつけて、5月30日放送回のニュース枠で取り上げてくれるそうですね。ここらあたりからメディアの注目度も高まる可能性も高く、今後もどう展開していくのかちょっと予想もつかなくて、当事者の一人としてワクワクしています。