異生物としてのキュウべえ
話題沸騰中のアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」。非常に語り口が多い作品ですが、今日は魔法生物キュウべえの生態について少し考察してみようかと思います。
キュウべえの目から見た世界
第6話で明らかになった魔法少女になることの本当の意味。少女の魂をソウルジェムという器に移し替えることが自分の役目だとキュウべえは正直に語ります。ここでまったく言い訳じみた事を言わず、本当になぜ狼狽えているのかわけがわからないという風情なのがとても興味深いですね。おそらくキュウべえ目から見える世界は我々の目で見る世界とはまったく違って見えるのでしょう。蝶が紫外線を可視出来るように、蛇が赤外線を視ることが出来るように、キュウべえの目には人の魂の色や形がはっきりと目に見えているのではないでしょうか。ちょうど6話のエンドカードのイラストがキュウべえから見た少女たちのイメージなのではないかなんてことを考えたり。
魂の形が直視出来るからこそ、まどかに強い力が備わっていることも、さやかが魔法少女としては格下なことも、キュウべえにしてみれば一目瞭然なんでしょうね。そして生命力の根源である魂をソウルジェムに移し替えてもなんら損なわれていないのなら何も問題がないと考えても無理からぬことかと思います。
背中の捕食口
また6話ではキュウべえの背中の模様が口になってグリーフシードを食べるというショッキングなシーンがありましたね。仮に彼が生物だと仮定して(生物でない可能性も多々ありますが)、我々脊椎動物とはまったく異なった体構造を持っていることがはっきりするシーンですね。一見ネコのような姿をしていますが、多足(耳の飾りも足と考えます)で体の中心に口腔があるあたり、ウニやヒトデなどの棘皮生物に近い種なのかもしれません。もっとも地球の生物と比較する意味があるのかどうかははなはだ疑わしくはありますが。
願いを叶える能力
何より願いを叶えるという超常的な能力の源がはっきりしませんね。キュウべえの提示する「願いを叶える条件」は魔法少女になることのみで、願いの大きさによって別途対価を請求するような野暮なシステムにはなっていないのが特徴ですね。ひょっとすると「願いが叶う」というのは少女を魔法少女にする過程で自動的に発生する副産物なのかもしれません。過去にあまたの少女を言いくるめてきたであろうその交渉術によっていかにもキュウべえ自身の能力に見せかけていますが、少女が何事かを強く願いながら魂を移し替えると自動的に世界が「そのようになる」…例えばドラえもんでもしもボックスを使ったときのように…などという仮説も考えてみたり。何にせよ世界の法則すら歪ませるような願いを叶える能力は一個の生物には手に余るものですから何かしか背後により大きな存在を感じずにはいられませんね。
なぜ魔法少女を必要としているのか
そもそもなぜキュウべえは魔法少女を必要としているのか。かの生物の言葉を額面通りに受け取るなら「魔女を倒すため」ということになりますが、それはおそらく嘘ではないもののまだ言っていない本当の理由が隠されている可能性は非常に高いですね。パッと思いつくのはやはり食事…エネルギー補給の為に魔女の持つグリーフシードを必要としているから、というものです。あるいは何か別の大きな存在のためにグリーフシード、あるいはグリーフシードを使って集めたソウルジェムの穢れを収集しているというのがもっともらしい可能性ではあります。その場合、魔女・魔法少女・キュウべえというエコシステムの構築こそが目的となって、それを維持するために少女たちを言葉巧みに使役しているということになります。これは今ネット上では主流派の仮説かもしれませんね。
もうひとつの可能性は、キュウべえは本当に人類を守るために魔女の殲滅を目的としてやってきたウルトラマンのような存在で、ただ価値観があまりにも違いすぎて無用な誤解を招いているだけというものも考えられます。この場合は本願成就して地上から魔女がすべて消え去れば魔法少女たちも役割を終え、その力も返上して魂も元の体に戻るという、とてもよくある魔法少女物語の結末を迎えることになるのかもしれません。少なくとも今のところ開示されている情報から推察すると、ソウルジェムに移し替えた魂をもう一度元の肉体に戻すことが不可能な理由は何もなさそうなんですよね。ただ、それを言ってしまえば当然元に戻して欲しいと言われてしまうので、交渉術として伏せている、と。まあどっちにしろひどい話なのかもしれませんが(笑)。
演出の妙でキュウべえはいかにも悪虐非道なキャラクターとして印象付けられていて、実際その可能性も低くはないのですが、必ずしもそれだけとは限らないのではないかな、というのを6話という折り返し地点を迎えたところでいったん提示しておこうかなと。
先が読めないからこそ、あえて逆張り的な間違った答えを置いておくのも一興かと思い、とりあえず思いつくままに書いてみました。