国内大手映画配信サービスを比較してみる

 ニコニコ動画YouTubeが相次いで日本国内での映画配信サービスを開始して、いよいよプレイヤーが出揃った感がありますね。1年ほど前にPlaystationStoreとiTunesの比較記事を書いたのですが、今回はそれにニコニコ動画YouTubeMicrosoft Zune、DMMの4サービスを加えて比較してみたいと思います。

レンタル セル 洋画配給 邦画配給 対応機器 ムーブ 支払い 配信形式
PlaystationStore 350/400 800/2500 ◯(東映除く) PC、PSPPS3 クレジットカード/PSNカード/Edy ダウンロード
iTunes 300/400 1000/2000 ◯(ソニーピクチャー除く) PC、iOS機器 クレジットカード/itunesギフトカード ダウンロード
Zune 3$/4$ × ◯(ソニー・ピクチャーズ除く) ◯(東映除く) PC、Windowsフォン、ZuneXBOX × クレジットカード/Microsoftポイント ダウンロード
DMM 240/350 × ワーナー ◯(東宝除く) PC、iPhoneAndroid クレジットカード/銀行振込/Edy ダウンロード/ストリーミング
YouTube 300/400 × ワーナー、ソニーピクチャーズ、ユニバーサル 東映バンダイチャンネル - Googleウォレット ストリーミング
ニコニコ動画 300/400 1000/2000 ワーナー × Flash対応機器 - ニコニコポイント ストリーミング

※洋画配給は「ワーナー・ブラザーズ」「20世紀FOX」「ユニバーサル」「パラマウント」「ソニー・ピクチャーズ」「ディズニー」の大手6社から配給のある場合◎とした。
※邦画配給は「東宝」「松竹」「東映」「角川」「日活」の大手5社から配給のある場合◎とした。

価格

 価格について各サービスともそれほど大きな優劣はないですね。レンタルが旧作300円新作400円というのがおおよその相場になっています。Zuneについては支払いがクレジットカードの場合、ドルの実勢レートになるようで、今の円高状況だと若干安上がりになるようです。DMMも一回り安い価格帯になっていますが、これもおそらく同様の理由でしょう。

 買い切り形式での販売があるのはPlaystationStoreiTunesニコニコ動画の3つ。こちらは作品によってもばらつきがあるのですが、新作はiTunesのほうが安く、旧作はPlaystationStoreのほうが安い傾向があるようです。またDMMでは配給作品の買い切り販売はないのですが、著作権切れタイトルを500円程度で販売するという他にはないサービスをやっているのも注目でしょうか。

ラインナップ

 洋画メジャータイトルについてはPlaystationStoreiTunesZuneが充実しているのですが、ソニー・ピクチャーズのタイトルが現状PlaystationStoreでしか配信されていないというのは大きなポイントでしょうか。ストリーミングサービスの3社はYouTubeに軍配が上がりますね。ニコニコ動画は現状ワーナー作品のみとラインナップでは大きく見劣りします。DMMは洋画はワーナー作品のみですが邦画は充実しており、Vシネマ等のビデオスルー作品も多く配信されているのが特徴ですね。ただし東宝作品の配給がないのは注意点かもしれません。

対応機器

 ダウンロードサービスの3社はそれぞれ自社製品とPCに対応という形ですね。DMMはPCではストリーミング形式、iTune、Androidで購入する場合はダウンロード形式になるようです。YouTubeニコニコ動画Flash対応機器ならものを選ばず見ることが出来ますが、ニコニコ動画iOS機器への対応が遅れているようですね。

ムーブ

 ダウンロード販売の場合、購入したコンテンツを他の対応機器にムーブできるかどうかは大きなポイントです。PlaystationStoreは認証済みの機器感であればPC含め問題なく移動できるのに対し、iTunesはPCからiOS機器への移動は可能ですがiOS機器からPCへの移動が禁止されている模様。DMMもPC→iOS機器への一方通行の移動のみ許可されているようです。購入する際は要注意ですね。

支払い方法

 おおよそ全てのサービスがクレジットカードでの支払いに対応していますが、ニコニコ動画のみ直接支払い方法がなく、いったんニコニコポイントを購入しそこからの支払いになるため、若干煩雑ですね。ニコニコポイントの購入自体はクレジットカード含め多彩な方法が用意されているのですが、ポイント購入が1000円単位のため端数が出てしまうのも問題です。逆にYouTubeGoogleウォレットが現状国内ではクレジットカードのみでの利用になるため他の支払い方法がないという問題がありますね。他サービスについては専用のプリペイドカードでの支払いに対応しており、適宜使い分けが可能になっています。

総評

 こうして並べて見ても各サービス一長一短ですが、やはり利便性ではYouTubeニコニコ動画のストリーミング系サービスに期待したいですね。それぞれラインナップと支払い方法にネックを抱えており、そこを解消できるかどうかがポイントでしょうか。DMMはアダルト系コンテンツから出発したこともありラインナップに偏りがあるのが、強みでもあり、弱みでもある。これまで囲い込み戦略で鎬を削ってきたAppleSonyMicrosoftのダウンロード系サービスが、ストリーミング系サービスの台頭を受けてどう対応していくかも注目ですね。