コアゲーマーにも知ってほしい2011年注目ソーシャルゲーム9選

 先日記事に取り上げた「アイドルマスターシンデレラガールズ」を始め、コアゲーマーの間でも少しずつソーシャルゲームが注目されつつあります。しかし話題になるのは「ドラゴンコレクション」や「探検ドリランド」等メガヒットとなったタイトルくらいで、そのリリース数に比して名前があがるものはごくわずかです。そこで2011年に私自身が体験した中から特に注目したタイトルについて紹介してみたいと思います。

ビックリマンGREE)(フィーチャーフォン

 一時代を築いた超有名コレクションシールのGREE版。基本ルールはほぼドラゴンコレクションを踏襲しており独自性は低いのですが、特定キャラに特定アイテムを使用すると上位のシール(ヤマト王子→ヤマト神帝、始祖ジュラ→ブラックゼウスetc)へと進化(神化)するというのがコレクション性と短期的なモチベーションを高めています。特筆すべきは期間限定イベントの頻度の高さで、イベントの前後に差し挟まれるFLASHアニメーションによる小芝居が上手く原作を消化しており、目を楽しませてくれます。

スラムダンク forモバゲー(モバゲー)(フィーチャーフォンスマートフォン

 こちらもベースはドラゴンコレクションを元にしたカードコレクションゲームなのですが、特に演出面において細かな工夫が施されており、版権ものタイトルのひとつの理想形となっています。特徴的なのは、コレクションカードが湘北、陵南、海南大付属、翔陽の4校に分かれており、ひとつのデッキには同じ高校のカードしか入れられないこと、カードにキャラクターカードの他にドリブルシュートやリバウンドといったアクションカードが用意されており、キャラクターとの組み合わせを考えたデッキ編成を要求されること。試合は最大10枚のデッキから5枚が選ばれその組み合わせで展開が表現されなかなか秀逸な演出になっています。またゲームのナビゲーションを井上雄彦の分身キャラであるDr.Tが担当していたり、ガチャという言葉を特訓と言い換えたりと全体の雰囲気作りも丁寧に行われているのが特徴ですね。

海賊道(GREE)(フィーチャーフォンスマートフォン

 任侠道に続くgumiの17禁ソーシャルゲーム第2弾。これも基本ルールはドラゴンコレクション準拠ですが、ドラコレの秘宝に当たる奪い合うお宝が「女の子」になっており、奪う(出会う)ことでちょっとしたFLASHアニメーションの小芝居がご褒美となっています。この小芝居が上手く女の子の特徴を引き出しており、海賊団同士のランキングバトル等も含めて、「アイドルマスターシンデレラガールズ」の直接的なルーツのひとつと言えるかもしれません。

ドラゴンリーグGREE)(フィーチャーフォン

 ここからは非ドラコレ系のタイトルです。ドラコレ系がカードコレクションとそれによるデッキの強化を主眼にしているのに対して、このドラゴンリーグは明確に「チーム力の強化」を主眼にすえたよりソーシャル性の高いゲームデザインになっています。その最大の特徴は、月に1回、2週間にわたって開催される「ドラゴンリーグ」。前節の成績にしたがって組み分けされたチーム同士が1日4回決められた時間に集まって力比べをするというもの。仲間と示し合わせて攻撃のタイミングを合わせると強力なコンボを決められたり、1日4戦に有限のリソースをどう配分するか等、やりこもうと思えばかなり戦略的な立ち回りが可能で、その一方でチームの移籍はかなり気軽に行えるようになっており、チームプレイが苦手でマイペースにキャラ育成したい人はそれなりに楽しめる作りにもなっています。モバゲーの「大連携!オーディンバトル」等フォロワーも生まれつつあり、また1月からはスマートフォンにも対応ということで今一番注目しているタイトルのひとつです。

狩りとも(モバゲー)(フィーチャーフォンスマートフォン

 探索で発見したモンスターにプレイヤーが相乗りで制限時間付きレイド戦を仕掛ける、ドリランド系タイトルといえるのですが、各プレイヤーがそれぞれ最大10体のNPCのユニットを組むことが出来、またそのひとりひとりについて細かく育成出来るのが特徴で、その要素の多彩さはコンシュマーのダンジョン探索系RPGと遜色のないレベル。またモンスターとの戦闘によってかなり頻繁にキャラクターが倒され(だからこそ多人数のユニットを組む)ソーシャルゲームとしてはかなり高い攻略性と世界観の演出に成功しています。回復や育成に数円〜数十円という単位の小額のリアルマネーでアシスト出来るようになっているのもマネタイズの方向としてなかなか興味深いタイトルです。

A.V.A 大激闘!戦場バトル(モバゲー)(フィーチャーフォン

 架空の欧州戦線を舞台にした同名PC用FPSのモバゲー版、という位置付けのタイトル。これもまた制限時間内に集団で目標を撃破する、ドリランド系レイドバトルの亜種と言えますが、特徴的なのはバトルの処理をFLASHによるミニゲームで処理していること。残弾に注意しつつ現れる敵兵にカーソルを合せて撃ち倒す簡素なガンシューティングなのですが、各ステージごとに個人/チーム/全体のスコアアタックになっており、ステージ攻略だけでなくハイスコア更新がゲームのモチベーションになっているのが面白いですね。幕間の小芝居もB級で妙な味わいがありなかなか楽しいものになっています。

100万人のWinningPost(GREE)(フィーチャーフォンスマートフォン

 同名コンシュマーゲームのGREE版。競馬ゲームはソーシャルゲームの中でも一大ジャンルなのですが、多くのタイトルがプレイヤー同士の対戦に主眼を置いているのに対して、このWinningPostは馬の育成は実在馬との対戦が中心になっており、ソーシャル要素は主に配合に置いているのが最大の特徴。原作同様に自家製種牡馬を繋留することが出来、それを他のプレイヤーが利用することでヘビープレイヤーはリーディングサイヤーを目指し、そうでないプレイヤーも他のプレイヤーの作った良血馬を種付けすることでより強い馬を生産するチャンスが得られるというソーシャルならではの仕組みを上手く利用しています。アイテムによる補正が強すぎる等、バランス面で課題はありますが、レースシーンの演出も丁寧で、来年リリースされるライバル「ダービースタリオン」との対比が楽しみでもあります。

レイトン教授ロワイヤル(モバゲー)(フィーチャーフォンスマートフォン

 対人ロールプレイゲーム「人狼」をモチーフにしたとも言われる同タイトルですが、実装されたのは時間内にマップ上の移動を繰り返し、敵対勢力の捕捉/回避を行う鬼ごっこゲームといった趣です。当初はゲーム展開にメリハリがなかったものの、何度かのマイナーチェンジでかなり遊びやすくなっており、特に操作感の悪いガラケーではなく、スマホテザリングで遊ぶとプレイ感覚がまったく違って来るあたり、今後のスマホ対応タイトルの動向を占う上でも注目の一本と言えそうです。

アイドルマスターシンデレラガールズ(モバゲー)(フィーチャーフォンスマートフォン

 やはりこのタイトルも挙げねばならないでしょう。すでに完成されたドラコレタイプをベースに、暴力的なほどに高品質なキャラクターを大量投入するという力業で今までソーシャルゲームを敬遠していた層まで巻き込んだ盛り上がりを見せています。特にキャラクターひとりひとりへのスポットの当たり方が従来のソーシャルゲームでは見られなかった展開で、今後リリースされるタイトルにも大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

 以上9作品。繰り返しになりますが、あくまで個人的な体験の範囲でのセレクションであり、この他にもまだ注目タイトル、革新的なタイトルというのは多数あるのではないかとも思っています。これは是非やったほうがいいよ!と言ったタイトルがあれば是非ご教示ください。ネット界隈ではまだまだソーシャルゲームについては腫れ物を触るような扱いが多いのですが、2012年はPSvita等への対応も含めてますます存在感を高めていくのは間違いなく、今後も定期的にフォローアップしていければよいなと思っています。

 では皆様、よいお年を。