「サカサマのパテマ」のダイタンなプロモ
「イヴの時間」の吉浦康裕監督による新作映画「サカサマのパテマ」。その前日譚に当たる短編アニメの第2話がニコニコ動画で公開されましたね。このタイトル、ニコニコ生放送で配信されているあらゆるアニメの最後に第1話を配信するという大胆なプロモーションを行なっており、そこで目にした人も多いのではないでしょうか。
もしまだ見ていない人がいれば上記リンクから。まず第1話を見ておいてください。
文明が衰退し人々が地下に追いやられて慎ましやかに暮らす未来。その退廃した世界を舞台に少女が冒険の旅に出る何処かで見たようなファンタジー。一見してそんな印象を抱く人は多いのではないでしょうか。確かに映像はハイクオリティーですが、どことなく古風で、正直今どき受けなさそうな作品だな、というのが最初に抱いた印象でした。ニコ生の最後でも、1ヶ月に渡って繰り返し何度も何度も目にする人が多いこともあり、あまりポジティブなコメントがつかない。
面白いプロモーションだけど上手く行くのかなーと思っていたのですが、その印象が第2話を見て文字通り「ひっくり返った」んですね。
それまで常識のものさしで「ありがちな世界」に見えていたそれが実はとても奇妙で不思議な世界だったということが、タイトルと映像の意味が一気に解き明かされる驚き。これは面白い!と唸らざるを得ません。
こうなると、前フリとしてニコニコ生放送で繰り返し「退屈でありがちな世界」に見せていた狙いがよくわかる。だけどこれって第2話を見てもらえるという確信がないと出来ない、かなり大胆な手法なんですよね。
とはいえ、確かにテレビの30秒のスポットCMや雑誌のスチル写真でこの世界の魅力を伝えるのはとても難しい。この作品の特性を生かした見事なプロモーションに思えます。まず最初に絨毯爆撃でタイトルとキャラクターの名前を覚えてもらっているからこそ、面白い物をちゃんと見せれば反応してもらえる、そんな自信が伺えます。「イヴの時間」という、ニコニコ動画と幸福な出会いをした作品を手がけた吉浦監督だからこそ思いついたアイデアとも言えますね。
この序章が、この先全何話まであるのかは今のところ明かされていませんが、劇場用オリジナルアニメのプロモーションとしてとても新しくも面白く、これが興行的な成功に結びついてくれるとまた作品展開の新たな手法になるかもしれませんね。