この漫画がすごかった!-2008-

古本屋の戯言・営業日誌:選者大募集!『このマンガが凄いから読め!(仮称)γ版・2009』…略して『こすヨメγ'09』(何故って、結局やりたいから…) - livedoor Blog(ブログ)
●何を"投票"すればいいの?
…お読みになったマンガで『スゴイ!』と思った作品をご投票下されば結構です。
『スゴイ"面白い"』でも、『スゴイ"薦めたい"』でも…『何か知らんけど…"スゴイ!"』でも結構!(※ただ、『スゴイツマンナイ…』的アンチは止めて下さい)

 年20作も紹介してないなー。とはいえただ漠然と「面白い」じゃなくて「すごい」という切り口はちょっと面白いと思ったのでちょっと書きとめてみます。とりあえず順位はつけない。もし集計していただけるのなら順位つけます。
08.12.16 鈴木先生医龍日本沈没、瑠璃の方船について追記

 週刊少年ジャンプ連載。凄いと言ってまず思いつくのがこのタイトル。今年「も」凄かったというほうが正確だが、2002年から始まったキメラアント編は、もはや漫画史に残る傑作になると断言してもよいだろう。本来まったく感情移入の対象になるべくもない異形の怪物キメラアントと、人類種の代表であるハンター協会の面々との熾烈なバトル。そこに芽生えた友情などという言葉では片付けられない、互いに相容れない事を分かった上での一瞬の心の交錯。種を越えた理解とは、共感とは何なのかと言う事を突きつけてくる。
 不定期な掲載などいろいろと言われるところもあるが、今の連載形式は結果的に作者にも読者にも良い形に落ち着いてくれたと思う。ともかく続刊が待ち遠しいが、これだけのものを出されては文句も言えない。今もっとも読むべき漫画の一つでしょう。

 月刊コミックゼロサム連載。界隈でさんざん話題にしてますが、もう一押ししちゃいましょう。龍に囚われしお姫様を助けるというおとぎ話から始まったこの漫画も気がつけばとてつもない大河ロマンへと成長していきました。特に今年発刊された12巻、13巻でのアカデミー騎士団編は一つの壁を越えたな、と。今までも十分に面白く、ファンタジー好き、深読み好きな人にはオススメしてきましたが、架空の世界に息づく人と歴史をここまで生き生きと活写されたらもはや平服するしかありません。

 漫画アクション連載。一昨年のこのマンガがすごい!で紹介されて話題となった本作だが、その後も勢いが衰えるどころかますます凄みを増していっている。昨年の中学生の性の問題を真正面から扱った@教育的指導編の興奮もさめやらぬまま、鈴木先生の出来婚発覚に端を発する学級裁判を正面突破で切り抜ける@鈴木裁判編はとにもかくにも圧巻だった。ほんのひとつ言葉を違えただけで全てが水の泡になってしまうようなタイトロープな状況の中で、今まで積み上げてきたものを一つ一つ確認しながら、正々堂々と着地を決めたのは見事というしかない。全力を出し切り憔悴しきった鈴木先生に惜しみない拍手を送りたい。この後もまだまだ鈴木先生の受難は続いており誠に気の毒ではあるが、このギリギリ感を来年も楽しめることを素直に喜びたい。

 ビックコミックスペリオール連載。本年度に読んだ漫画の中でベストエピソードを一編選べと言われたら、迷いながらもやはり医龍のこの一編を挙げたい。19巻の冒頭に収録されるエピソード。局内政治のコントロールに失敗し孤立化したかつての巨人、野口。医局員に見捨てられただ一人の納会で発した「権力は、――美しい。」というあまりにも迫力に満ちたシーン。その先に用意されていた展開には思わず固唾を呑んでしまった。真の孤独を知るものの強さ、その共鳴に震えずにはいられない。言葉にしてしまうのももったいないので是非読んで、驚いて欲しい。天才と凡才を対比し続けたこの漫画がその先に何を用意しているのかが楽しみで仕方がない。

 ビックコミックスピリッツ連載。メディアミックスとして始まった本作も紆余曲折を経ていよいよ最終段階へと突入した。既に本誌ではあと1話で完結とアナウンスされており、最後の最後でどんなちゃぶ台返しをするのかと戦々恐々とさせられたが、ベタな命の散華を描きながら、最後までメタな視線を外さなかったな、と。名作日本沈没の現代語訳として全てを誠実に描ききってくれてとても嬉しい。1970年代よりも更に世界は狭くなり、日本人全ての救済など絵空事にもならない現代で「それ」を誤魔化しなく全うするにはどうしたらよいのか。誰もが耳を疑うような<<救済条件>>を突きつけた凄み、人の心の在り方に真摯に向き合ったこの作品はもっと評価されるべきだと思う。

 完結作品。夢枕獏による同名の自伝的小説を漫画化した本作。作家夢枕獏を投影したキャラクターである桜庭と、同じく小説家を志す真剣師甲野の対比。自らの内側にあるものを全て出しきるには人生は短すぎる。そこでは何かを選び、何かを諦めなければならない。小説家としてよりもおそらくは将棋指しとしての才能に恵まれていた甲野の壮絶な生き様は、あるいはもう一人の夢枕獏が歩んだかもしれない道だったのだろう。諦めないこと。自分の信じた道を貫くこと。それは誰も何も保障はしてくれない。だからこそ、人知れず野たれ死んだ甲野の生き様に鮮烈に憧れる。何事も成し得なくても諦めなかったその生涯を愛しく感じる。原作の持つ言葉の美しさを最大限に引き出した珠玉の一篇です。

  • 少年4誌からルーキーを1作ずつ

…サムネがない

 まだまだあるけど、とりあえず10作。見栄えを重視してamazonでサムネのある奴から中心に選んだ5作じゃ全然収まらないなあ(笑)。それぞれの短評は随時追記していきます。