アニメビジネスのお金の廻りについて改めて考えてみた(ツッコミ待ち版)

 アニメ業界のお金の廻りについてはいろいろと断片的な情報はあるものの、なかなかこれといった決定版といえるようなものがないのですが、分からないなりにある程度の仮定の数字をおいて、こんな感じになっているんじゃないかな?というのを自分なりにまとめてみました。ツッコミ大歓迎ですので叩き台にしてもらえればなどと。

4/23:玩具メーカー主導のケースを追記しました
4/24:ビデオメーカーのケースを予算1億5000万円、波代2000万円(U局6局シンジケート)のケースに差し替え、図版を入れてみました
4/26:エントリが長くなってきたので分割しました。各ケースについて大まかなまとめを追記しました。


 考えるに当たって、とりあえずアニメ制作可能な最低限の数字を想定して予算を組んでみることにしました。実際の数字はもっと大きいもののほうが多いとは思います。逆に言えばこれ以下であれば商売にならないラインということですね。

 もう一つ。お金の流れと言うときにどうしてもエンドユーザーからメーカー/制作者への支払いというイメージを抱きがちですが、正確には製作委員会の収入はメーカーが商品を生産した時点で発生しますし、メーカーの収入は小売/仲卸へ出荷した時点で発生するんですよね。小売/仲卸は在庫リスクを背負いながら実際の需要以上の発注をするし、であるからこそかろうじてアニメビジネスが成立しているという側面があることを前置きしておきます。

 アニメ制作の実態については断片的な情報はあるもののなかなか全体像が把握できないのですが、大まかに言って4パターンくらいあるのかな、と考えています。

  • ビデオメーカー主導
    • 幹事会社はビデオメーカー
    • DVDの印税で投資の6〜8割を回収。残りは各自の商売と権利販売で回収する。
    • 放送局は基本的に参加しない。放映権、ネット配信権は制作元請が取ることが多い。
  • 玩具メーカー主導
    • 幹事会社は玩具メーカー。他、テレビ局、代理店が大口投資をすることが多い。
    • 玩具の印税で投資の3割程度を回収。その他は各自の商売と権利販売で回収する。
    • ビデオメーカーは基本的に参加しない。ビデオグラム販売権は制作元請が取ることが多い。
  • テレビ局主導
    • 幹事会社はテレビ局。広告代理店、制作元請が大口投資することが多い。
    • 印税収入は1割程度。NHKの場合は採算度外視。民放の場合はCM収入頼りだが、視聴率が望めない場合は権利販売がメインになることも。
    • ビデオグラム販売権は制作元請が獲得することが多い。
  • 制作元請主導
    • 幹事会社は制作元請。権利のコントロールを元請が取る
    • 制作形態は様々。概ね上記のモデルを踏襲するが、そのハイブリッド的な形態もある。

こんな感じですかね。それぞれのケースについて仮定の数字を用いながら推論していこうと思います。