東のエデン スクリーンの向こう側の記憶

 さて、1週遅れで視聴中の東のエデン第2話を鑑賞しました。ジュイスの「持てるものの義務を果たしてください」という台詞を聞いて「モテるものの義務?」と思ったのは自分だけではないと思いたい(笑)。

 そんな滝沢くんがモテるものの義務を果たした豊洲水上バスのシーンで引用した映画はこれですね。

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 19世紀からタイムスリップしてきた貴族と現代のキャリアウーマンが恋に落ちるラブコメディ。本作の重要なキーワードであるnoblesse obligeにも掛かった粋なチョイスですね。実のところ私は未見だったりするのですが、映画の顛末を知るものには、この2人の行く末を予感、予想させるしかけになってるんでしょうね。

映画の記憶のみで生きる

 ところで滝沢くんの記憶喪失というのはとてもユニークで、自分のことはほとんど思い出せないのに映画の記憶だけは鮮明に残っている。日常の知識は覚えているのかと思えば、豊洲への行き方は分からないし、フリーダムタワーのことも知らなさそうな反応。これは実は現実で得た知識は何一つ残ってなくて、映画の中で得た知識のみ覚えていると言うことなのかもしれません。そう考えると滝沢くんの芝居がかった行動の一つ一つに何かの映画からの引用があるのかもしれませんね。たくさんの映画をパッチワークで繋げた、スクリーンの向こう側の記憶だけで何の支障もなく日常生活が送れてしまうという表現なんでしょうかね。

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  • 第2話のロケ地 日の出埠頭


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梅ガムから殺人依頼まで

 空港の売店セレソン携帯で梅ガムを買う滝沢くん。なるほどそういえば提供ロッテだったなぁなどと思いつつ。これはエヴァンゲリオンヱビスビールUCCコーヒーと同様で、馴染みのあるアイテムを画面に入れ込むことで、物語の大きな嘘に現実感を出すために有効な手法ですね。
 その同じセレソン携帯で殺人依頼をするNo4近藤。梅ガムから殺人依頼まで、セレソン携帯で実現出来ることに制限は何もない。梅ガムと人の命がお金という同じ尺度で比較され相対化されている。記憶すら、お金を使えば消去することも書き換えることも出来てしまう。それでも、お金では買えないもの、お金だけでは変えられないものは何なのか、というのもこの作品の大きなテーマになっていくのでしょう。