あらかじめうしなわれたどうていをさがして

 時間がないので軽めに。東のエデン第8話「あらかじめ失われた道程をさがして」。派手なアクションの第7話の後は比較的落ち着いたダレ場…情報整理回になってますね。このあたりもやはり映画の呼吸に倣っているのでしょうね。時折クローズアップされる大杉の携帯のデジタル表示によって時間の経過が強調されているのが印象的です。

「あらかじめうしなわれたどうてい」とは何か?

 ところで今週も大変にサブタイトルが意味深です。こうやってひらがなに開いてみると何か意味深な…どうてい…ジョニー?考えすぎですかね(笑)。板津の引きこもりの理由が「ズボン=下半身を隠すものの喪失」というのもなんだか暗喩があるような気がしないでもありません(笑)。

 素直に文脈を読めば「失われた道程」とはセレソン携帯の履歴…滝沢くんの行動ログということになるのですが、ただ失われているだけでなく「あらかじめ」失われているというのはどういうことなのでしょう。深読みすれば「あらかじめ失われている」=「最初から存在しない」とも受け止められます。あるいは滝沢くんになんらかの行動を促すために意図的に失われた…こちらのほうが正道の読みですかね。

 2年前…2009年現在から引きこもりをはじめた板津はおそらくはネット界隈でもそれなりに発言力、存在感のある人物ではないかと推定されます。今週を見る限り滝沢と板津にはこれまで接点はなかったように見えますが、はたしてこうして板津と滝沢が出会ったことは単なる偶然なのか、それとも仕組まれた必然なのかというのも気になるところですね。このあたりは今後明らかになっていくことを期待しましょう。

 2年間引きこもっていた板津の、ネットが忙しすぎて現実にコミットしてる暇がないという状況はとてもシンパシーを感じてしまいますよね。ネットの世界は本当に秒進分歩で、次から次へと新しい出来事が起こって流れを追うだけでいくら時間があっても足りない…パソコンの前に座っているだけで世界中の情報をすべて分かったような気になって…同時に知ることが出来るのにすべてに目を通すことが出来ないというジレンマもあって。丸一日潰して滝沢の足跡を追う大杉と、パソコンの前でひたすらセレソン関係の事件を追う板津…その情報密度の濃さの差というのも演出の意図としてあるのかも知れませんね。