ニコニコ動画はコミュニティスペースとしての性格を強めていくのかもしれない
今日からニコニコ動画が新バージョン、ニコニコ動画(夏)が始まりましたね。既にアナウンスされていたニコニコミュニティが実装され、さっそくなかなかの盛況ぶりのようです。実際にどうやって利用されていくかはもうしばらく様子を見たいところですね。
niconico(ニコニコ)ニコニコミュニティ
心配されていたMAD動画の大規模削除ですが、とりあえずのところはメンテナンス前と大きな変化はなく…自分の把握している範囲では涼宮ハルヒの憂鬱の本編動画が、非公開扱い(削除ではない)になっているくらいでしょうか。その他の放置されていた本編動画がどうなっているかはまだ把握していませんが、なんらかのアクションが近いうちにあるのかもしれませんね*1。
ニコニコミュニティとニコニ・コモンズ
先日の発表会で発表されたニコニコミュニティ、ニコニ・コモンズの仕様を見ていると、ニコニコ動画はこれからコミュニティスペースの性格をより強めていくのかもしれないな、などという感想をいだいたりしています。
ニコニ・コモンズに関してはVocaloid関係も含めて歌ってみた、踊ってみた、演奏してみた等の実演系動画の投稿者に特に福音になるでしょうね。今まで制作の都合上どうしてもCD音源に頼らざるを得なかった歌い手、踊り手が、ニコニコミュニティ等を通して演奏家にバックミュージックの演奏を依頼するような流れは出来てくるでしょうね。
ニコニコ動画上のコンテンツの現在
ニコニコ動画に投稿されている動画は著作権的に見て大きく3つにわける事が出来ると思います。
このうちの3に該当する動画を減らして、2を増やしていくというのがニコニコ動画の戦略なんでしょうね。過渡期において3の状態にある歌ってみた系等は、いずれ2へ移行するという目算の元お目こぼしをしてもらっているといったところでしょうか。
MAD等は合法化への目処はいまだたっていませんが、全面的に削除されていないところを見ると、なんらかの道筋をつける動きが水面下であるのかもしれません。
ニコニコ動画内ニコニコ動画
ニコニコミュニティについて楽観的な予測をすると、これはニコニコ動画内ニコニコ動画の役割を果たしていくのかもしれないなと漠然と考えています。大規模化しパブリックな存在になりすぎたニコニコ動画というフィールドで、あからさまに法律のエッジに触れるような動画が横行するのは避けざるを得ません。しかし少人数のクローズドなスペースであれば多少の行き過ぎがあっても内々で処理する事も可能でしょうし、それでいてニコニコ動画との連続性は保たれているのでその中から生まれた枠にとらわれないユニークな作品がオープンスペースへと飛び出していく事も、他の動画共有サイトに分断されるよりは容易なように思います。コミュニティ内ではプレミアム会員であることがステータスになるような仕掛けを作っているところもなかなかしたたかですね(笑)
創作発表の場としてのニコニコ動画の今後
とはいえ、こうやってジャンルごとに島宇宙化してしまう状況というのは手放しで喜べるものではなく…今までにもまして他ジャンルに無関心なユーザー層を形成してしまう危惧もあって…例えばドアラやらんらん☆るーやIKZOのような、ジャンル横断的なムーブメントが果たして今後も発生するのかどうか、ちょっと心配ではあります。中立的なムーブメントが定期的に巻き起こって、それによって生じる各ジャンル間での交流や軋轢が創作の刺激になっていたという部分は少なからずありますので。
ムーブメントを巻き起こすには誰も思いつかないような意外な組み合わせ、意外な発想を持ち込む必要があって、それはたいていの場合既存のルールからははみ出てしまうんですね。そういった発想を妨げない仕組みとしてニコニコミュニティは機能してくれる可能性はありますが、そこで発生した“変なもの”を拡散させる仕組みを上手く機能させる事ができるかどうかが、ニコニコ動画が今後より発展していくか、あるいは縮小していくかの分かれ道でしょうね。今後数ヶ月はまさにニコニコ動画にとって正念場、勝負の日々となるのは間違いなさそうです。創作の場としてのニコニコ動画が続いていくよう1利用者として出来る限りもり立てて、協力していきたいですね。