モーニング・ツーの挑戦

http://kc.kodansha.co.jp/SEP/22226/01/free/index.html
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 講談社モーニング誌の増刊「モーニング・ツー」のバックナンバーを前ページウェブで公開するという試みが始まりました。最近は「聖☆おにいさん」がスマッシュヒットを飛ばしている気鋭の雑誌ですね。

 漫画は雑誌では儲からない。単行本を売ってなんぼだと言われて既に久しいですが、それでも単行本書き下ろしではなく雑誌を出し続けるのは単行本というメイン商品の見本、認知広告としての役割が大きいんですよね。街角のコンビニで表紙陳列されて誰でも目にすることが出来るというのはやはり絶大な広告効果があって、それはウェブの無料コミックとバーター出来るような性質のものではないんですね。だから、技術的、コスト的には可能でも雑誌の配本量を減らす危険を冒してまで雑誌を丸ごとウェブに掲載してしまうという事をあえて挑戦するところはなかったんですが、それを大手の講談社が、あえてやってきた。この意味を考えるとなかなか感慨深いですね。

 閲覧は専用のプラグインをインストールするだけで会員登録等の面倒な手続きがいらないのも素晴らしいですね。実際に読んでみて思うのは、やはり紙媒体の雑誌で読むのとはかなり勝手が違うな、と。横書き文化のウェブと縦書き文化の漫画との相性の問題もありますが、まあこのあたりは慣れかもしれません。スクリーンショットが撮れないので説明が難しいのですが、各タイトルの1ページ目のサムネイルを画面上部にズラッと並べて読む「インデックス・ビュー」というモードが、なかなか視認性が良くて、雑誌を読んでいる感覚に近い感じで読めるような気もします。ウェブコミックの閲覧方式に関してはまだまだ改善の余地はあるんでしょうね。

どうやって収益につなげるか

 とはいえ、今回のモーニング・ツーの挑戦はなかなかインパクトがあるものの、あくまで読者サービスの一環といった趣で、ここから直接ファン層を拡大したり、収益アップに繋げようという意図までは感じられなかったりもします。もう少しアクティブに、例えば各連載の購入ページに直接飛ぶリンクを貼り付けるとか、ウェブならではの詳細なアンケートを募ってみるとか、あるいは閲覧者同士がコミュニケーションをとれるような仕掛けなんかがあっても面白いかも?なんて考えたりもします*1。このサイト自身の認知度を高める工夫ももっと必要でしょうね。

雑誌そのものの魅力の復権

 いち漫画ファン、漫画雑誌読みとしては、ウェブで雑誌を丸ごと公開することで、再帰的に雑誌のファンを増やせるような仕掛けが出来たら、ということも考えてしまったりします。このモーニング・ツーをはじめ講談社の漫画雑誌というのは特に個性豊かな誌面の雑誌が多く、それはやっぱり単行本で読むのとはまた違った味わいがあるんですよね。

 もちろん講談社以外にも雑誌で読んで面白い漫画雑誌というのはたくさんある。そういった雑誌の多くはコンビニには置かれず、書店でも包装等で立ち読みも出来ず、一部の漫画マニア以外にはなかなか敷居の高いものだったりもします。今回この試みでもしもモーニング・ツーの発行部数が逆に伸びたりしたら、後に続く雑誌も出てくるかもしれない。そうなったら雑誌とウェブの新しい関係が築けるかもしれない。その可能性は、けして低くない。そんなふうに願ったりしています。

*1:ニコ厨的発想ですみませんw