株式会社ゲームポットの決済短信を読んでみた
ちょっと思うところがあって、ネットゲーム運営大手のGamepotの財務情報などを読み込んでみました。スカッとゴルフパンヤなどを運営している会社ですね。
読んだのは主に19年度(2007年1月1日〜12月31日)の決済短信。なかなか面白かったです。
売上高37億円
まず目を引くのが売上高37億円、経常利益8億円という数字ですね。めちゃめちゃ儲かってる。しかも全体の95%超をオンラインゲーム事業で稼ぎ出してますね。ゲームポットの運営しているタイトルはこの短信の時点で6タイトル。その全てが基本無料アイテム課金のビジネスモデルです。うち主力タイトルであるパンヤが全体の5割弱の売上とのことですが、あまり流行ってるとは思えない他の5タイトル(君主オンライン、CABAL ONLINE、ファンタシーアースゼロ、トキメキファンタジー ラテール、オンラインカート ステアDASH)でも18億かそこら稼いでいるんですね。上のタイトル、みなさん知ってます?私は君主オンラインとファンタシーアースは聞いた事ありましたが、他はまったく知らないタイトルですね。そのあたりでも年間数億円規模で売上を出している。
有料会員は1%以下
ところで、先日のエントリでアイテム課金タイトルの一人あたりの月平均売上が5000円近いというデータを紹介しました。わかりやすく、年間約10万円と考えてこの数字をゲームポットの売上高に当てはめると、わずか3万7千人の有料(優良)会員だけで事業が成り立っているという数字が出てくる。パンヤの会員数はおよそ200万人。売上比から換算して全サービスの総計で400万人くらいでしょうから、課金ユーザーは100人に1人以下。この数字は無料ゲームをプレイした時の実感としても、妥当に思えます。
開発費と運営費
次に支出について見ていくと、売上原価20億、販売費及び一般管理費8億8千万円という数字が出てくる。前者がライセンシー料と企画開発費、後者が運営費用と広告費と考えてよさそうですね。ゲームポットの場合は開発は全てライセンシーと外注ですから、内訳はこのデータではよくわかりませんね。一般管理費の内訳は支払手数料(サーバー代?)3億3千万円、広告宣伝費1億5千万円となっています。広告費の割合がとても高いですねえ。あちこちでネットゲームのバナー広告を見かけるのも納得の数字です。それだけ、集客というのが直接利益に繋がると考えられているんでしょうね。
払いたい人だけが払うビジネスモデル
99%の無料会員を、1%以下の有料会員が支えているという構図。こうしてみると、改めてアイテム課金ゲームが払いたい人だけが払うビジネスモデルになっているかというのがよくわかる。無料でなければ遊ばないというプレイヤーが大多数だとしても、条件次第では月に数千円を支払うことを苦にしない人たちも一定数いるんですよね。
これを例えばニコニコ動画に当てはめれば、全体の1%(10万人)が月4000円課金すれば4億円の売上。悠々と黒字達成です。実際、支払い能力のあるユーザーならそれくらいの金額を月々使っても苦にならないと思うんですよね。
とはいえこの数字は月数百円しか使わない人から何万円と蕩尽する人まで含めての平均ですから、使い道がないことには数字が上がりようがない。ニコニコのプレミアムが一律500円で20万人(全体の2%)の会員を集めているというのはネットゲームと比しても非常に高い割合なわけで、変な差別化をしてプレミアム会員の割合を増やすよりも、有料サービスを増やして一人あたりの売上高を高める方向でいったほうがよいと思うんですけどね。