出所不明のファイルを取り扱うリスクはもっと知られた方がいい

 リリース前のCD音源がニコニコ動画にアップロードされた件に関して投稿者が書類送検されるという事件があったようだ。

http://www.asahi.com/national/update/0522/TKY200905220362.html
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 ニコニコ動画に動画を投稿したことをきっかけにして、送検されたケースはこれが初めて、なのかな。厳しい処置とは思うが、経緯を聞くにやむを得ないとも同時に思う。問題は、このリーク音源が、既に海外のファイル共有ネットワークに流通してしまっていた、という点だ。

 asahi.comの記事では「海外のサイトで既に配信されていたものをダウンロードした」と書かれているが、国内未発売の音源を海外で先行配信するとは考えづらく、おそらくはP2Pファイル共有ネットワークに流出していたものを被疑者が入手、それをニコニコ動画に転載アップロードしたということなのだろう。不正入手したファイルの直接のリスクとしてはウィルスの混入といった直接的な脅威がとりあえず思いつくが、それ以外にも、そのファイルがどのような属性を持っていて、どのような経緯で不正に流通しているのかをダウンロード者が知ることが出来ないという点があるということはもっと意識されて良いと思う。

 また取り締まる側にしても、不正アップロードされたファイルを被疑者がどういった経路で入手したのかというのを知ることが出来ない。正規リリース後であれば正規な手段で手に入れたものをアップロードしたものと考えるのが妥当で、その場合には少なくとも警告等の段階的なステップを踏んだはずだ。しかし今回のように、とりあえず不正入手したファイルであることが間違いなく、またことによればアップロード者自身が音源ファイルのリークに直接関わっている可能性もあるならば、場合によってはこのような強硬手段に出るのも致し方ないところでしょう。

 ファイル共有ネットワークはコンテンツの価値をゼロにするといった論調がたまにあるが、その利用者はこういったリスクという高いコストを支払わされていると言うことはもっと周知されるべきだと思う。自由なコンテンツの流通を求めていたはずが逆にリスク管理でがんじがらめになった不自由な利用しか出来なくなってしまったら、こんなにつまらないこともない。



 一方で、Youtubeに不正アップロードされたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の新EDテーマ「止マレ!」のクリップに対し速攻で角川から連絡が入り公認動画となるという事件もあったようで。

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 別に角川のやり方が正しくてサンクレイド(dir en greyの所属事務所)のやり方が間違っているといいたいわけでなく、こういった動画や音楽の共有行為を正当化したいのであれば、ファンに出来るのは、自分たちがちゃんとそれを正規の手段で入手しているということをアピールすることしかない、ということなんだと思う。角川は「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」の成功を経て、動画共有サイトと協調していくことが自社の利益になることを強く実感しているからこそ、こういった弾力的な運用が可能なわけで、角川が儲かっているんだから余所もそうするべきだという論調は受け入れるべきではない。それでもどうしてもと思うなら、まずファンの側から歩み寄って、相手の利益となるような行動を率先して取るべきなんでしょう。結果としてユーザーの自由な利用を許したほうが利益になるということが自然に体感できるようになれば、世間は自ずとそちらに流れていくんですから。

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