ニコニコ動画(9)とカテゴリタグ問題
ニコニコ動画の新バージョン、ニコニコ動画(9)がリリースされましたね。詳しい変更点などは公式や敷居の先住民さんの記事を見ていただくとしていくつかツッコミなどを。
ニコニコ動画(9)の新サービス&新機能が公開 - 敷居の部屋
http://www.nicovideo.jp/static/nico9/
9番目のバージョンでもないのに何故(9)なのかというのは↓の記事によると9月リリース予定&ヱヴァンゲリヲンQや村上春樹の1Q84にあやかったとなっていますが、ニコ厨的にはどう考えても東方の人気キャラ、チルノを表す⑨からの引用にしか思えないですね。それと7番目でもないのに7なWindows7にひっかけたというのがもっぱらの噂です。まああくまでもユーザーの勝手な推測ですが。
ニコニコ動画の新バージョンはなぜ「9」?:CNET Japan Staff BLOG - CNET Japan
9とは (キュウとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
カテゴリタグ問題
さて、このバージョンアップで、カテゴリタグの再編があり、東方・アイドルマスター・Vocaloidの3つがカテゴリタグに指定されたことが物議を醸しています。何が問題かと言うと、このカテゴリタグに指定されたタグは、1つの動画に1つしかつけることが出来ない。もしカテゴリタグに指定された属性を複数持った動画があると、属性を可視化するタグという機能が機能不全に陥ってしまうんですね。そして実際に東方/アイドルマスター/Vocaloidのタグを同時に持った動画というのは膨大な数存在する。今までも潜在的にはあった問題ですが、この再編によりそれが一気に表面化した形ですね。
一応現状で複数のタグがついているものに関しては救済措置が取られたようですが、今後投稿される動画がジャンルを分断されてしまう可能性が高く、それは非常につまらない状況に思えます。
カテゴリタグの歴史と役割の変遷
そもそもカテゴリタグというのがいつ始まって何を意図していたかというのを少し遡って調べて見ました。最初に導入されたのは2007年の5月2日。ニコニコ動画γの時代ですね。
この記事によると、特定のタグのついた動画をトップページに表示するようにすることで、ジャンルの偏りを緩和しようという意図で始めた機能ということですね。ランキングの特定ジャンルの寡占の問題はこのころからあって未だにまったく解決していないというのがよくわかります。そもそも問題にすることでもないと個人的には思うのですが、運営はこの問題にこの後も延々と取り組み続けていますね。
次に大きな改修があったのはニコニコ動画RC2リリース時のカテゴリトップページ及びカテゴリランキングの設置ですね。
カテゴリタグごとのランキングが掲載されるようになり、動画にカテゴリタグをつける意味がこれによって強まった。その結果何が起きたかというと、一番大きな変化は「チャット」や「ひとこと動画」と言ったいったい何を意図しているのかよく分からない&実際に過疎状態になっているカテゴリに特殊なジャンルの動画が集結するといった事態が起こり始めたことですね。公式にランキングが掲載されるというのは動画投稿者にとっては大きなモチベーションになるわけで、カテゴリの本来の意図とは関係なくユーザーが勝手に解釈してカテゴリを占拠してランキングを競う。その結果いわゆるガチムチ動画やエア本動画が息の長いジャンルになる下地を作ったとも言えますね。
その後もバージョンアップの度にマイナーチェンジを繰り返してきましたが、根本的な人気ジャンルの寡占という状況は変わらず、それで今回のカテゴリタグ指定という大技を繰り出すに至ったわけですが、何かここまで来ると手段と目的を取り違えているとしか思えませんね。元々のカテゴリタグの目的は、ニコニコ動画の文脈を知らない人が取っつきやすい動画をトップページに表示することであって、人気ジャンルの頭を押さえつける事ではなかったはず。であればもう少し原点に立ち返ったやり方があるんじゃないかという気もしますね。
本音を言えばカテゴリ分けとタグの機能は分離してしまうのが一番良いとは思うのですが、数百万あるニコニコの動画に改めて新しい属性を付与するのは現実的ではないという問題もあります。しかし一連の改編の意図が、一般のお客さんの好む動画をピックアップすることにあるのならば、目立つ動画を隔離するのではなく、むしろ逆に一般向けの動画をこそ抽出する方向で考えた方が良いんじゃないかと思いますね。濁った水から汚れをすくい取ろうとしたって、水が澄む頃には水かさが大幅に減ってしまう。それよりもむしろニコニコ動画というカオスの坩堝の中から、色のついてない動画をピックアップするほうがまだ現実的でしょう。
カテゴリタグは縮小するべき
それでですね。今あるカテゴリタグはいっそ全廃してしまう。そして新たに【一般向け】【萌え】【上級者向け】【その他】というカテゴリタグを作ってしまう。【一般向け】はその名の通り一般に広く受け入れられそうな動画。【萌え】【上級者向け】は運営が隔離したい動画ですね。それ以外は全て【その他】にしてしまう。このカテゴリはシステム上は平等に扱うがユーザーが任意に表示非表示を選択出来るようにする。これならば動画投稿者は、勝負する場所を選ぶという形でポジティブにカテゴリタグをつけることが出来る。そしてその他のタグは思うままに自由につけることが出来る。【その他】が実質的な総合ランキングだとしても、特別な文脈を必要としない一般向けや、逆にアクが強すぎて人を選ぶ動画はあえて別のフィールドを選んだほうがランキング上位に載りやすくなるというモチベーションが働く。これならば運営の意図に近い形で様々な動画が比較的平和に共存できるんじゃないかなと。
カテゴリタグ問題に関しては↓のような複数カテゴリタグが付与出来るようにするという案もあって、それはそれで問題ないとは思うんですが、そもそも直交するようなカテゴリ分けが多数あるという状況そのものがおかしいわけですしね。階層の浅い場所におくランキングとは別に、人気タグについては公式にランキングを出してしまうという方向に落ち着けば個人的にはベストなんですが。
ニコニコ動画のカテゴリタグに関する私案(たたき台ともいう) - 404 I’d not found(→d:id:mongrelP)