ニコニコ大会議ツアーFinalが2daysだった意味

 ニコニコ動画の赤字の元凶こと、ニコニコ大会議ツアーFinal in 東京 2daysをニコニコ生放送で視聴していました。その盛り上がりのほどは既に各所で報告されていますが、現地ではなくモニタの前で見ていた雑感などを。

http://d.hatena.ne.jp/k-z-h/20100221/p1
これからのコミュニケーション作法 ニコニコ大会議@JCBホール | ラテン系企画マンの知恵袋

 今回ツアーFinalとなった東京2days。その中でも異様なほどの盛り上がりとなったのはライブ中心に進行した2日目ですね。これはちょっと、言葉にならないくらい凄い体験でした。延べ来場者数46万人という数字は、あまりにアクセス殺到しすぎてサーバーが不安定になったために接続切れする人が続出したせいではあるのですが、序盤の混乱が収まった後は異様なほどの一体感でしたね。

 ニコニコ生放送の面白さはインタラクティビティだとよく言われますが、単純に観客や視聴者とのインタラクティビティを生かした仕掛けをいろいろ施していた初日よりも、ライブパフォーマンス中心の2日目のほうが面白かったというのが、注目すべきところなんじゃないかと思います。

感情の共有の場としてのライブ

 もともとライブってのは、会場の観客と舞台との一体感、そのグルーヴを楽しむ側面がありますから当然と言えば当然なんですが、このニコニコ大会議のライブが特殊なのは、舞台に上がっている演者のほとんどが、ニコニコ動画ニコニコ生放送で名を挙げたアマチュアパフォーマーだということですね。桃井はるこやR藤本のようにテレビ他で活躍している芸能人もいるものの、彼らもまたユーザー代表出演者の一人という扱い。最終日は総勢30人を越えるユーザー代表出演者が登壇したのですが、当たり前と言えば当たり前なんだけど、この全ての演者を全部把握しているって人は少ないと思うんですよね。

勝手に楽しんでるのに足並みが揃う

 特に生放送で見てる人なんかは層だと思うんですが、人気の演者が出るからってその全てに興味があるわけじゃない。自分のひいきの演者が1人でもいたら、その人を目当てに見るって人が大半なんですよね。会場に足を運ぶ人はよりヘビーなニコ厨の率が高いでしょうから知ってる演者の数も多いでしょうが、基本的には同じでしょう。だけど、動画を見てもらえれば分かるように、何故かずっと盛り上がりっぱなしになっているというマジック。これは、それぞれ自分の好きなパートだけで盛り上がっていても、画面を見るとずっと盛り上がっているように見えるというニコニコのコメントシステムによるところが大きいんですよね。

 大会議ではステージ上の大スクリーンに生放送の動画がコメント付きで流れていて、そのコメントのノリが会場にも伝播する。会場が盛り上がればコメントも一緒に盛り上がる。相乗効果でどんどんボルテージが上がっていく。3000人の観客と、2万人の視聴者の一体感が後半になるほど強くなっていくのがよくわかる。これは構成の良さもあるんですが、観客も演者も特に訓練されているわけではない、と言っても信じてもらえないくらい足並みが揃ってるんですよね。

 はっきりいって演者のほとんどは素人です。プロのパフォーマンスに比べたら至らないところも多い。3000人の観客というのは、力をくれる存在でもあるけど、演者にとっては同時に怖い存在でもある。自分のパフォーマンスで場がしらけてしまったら、という恐怖は誰にだってある。その恐怖を和らげるのが画面上のコメントなんですよね。失敗しても、ちょっと滑っても、それ自体をネタにしてコメントで盛り上がってくれる。そのコメントに会場の観客も反応してくれる。その安心感があるからこそ、失敗を恐れずに全力を出すことが出来る。もちろん大舞台ということで、場慣れした演者を揃えた部分もありますが、それにしてもここまでの規模のライブは初めてという人がほとんどですしね。それが破綻なく最後まで盛り上がりきったという時点で快挙でしょう。

ニコニコ動画の向かう先

よく、なぜ大会議なんかやっているのか、どういう狙いなんだと尋ねられるが、なにかのために大会議をやっているんじゃなくて、大会議のために仕事をやっているというのが正しい。ここが終着駅、そして出発点。なぜ、ここから歴史が生まれているということに気づかないのかね?と思う。
Twitter / Nobuo Kawakami 3:51 AM Feb 19th

 ドワンゴの中の人がTwitterでこんな発言をしていましたが、今回のツアーファイナルで、ユーザー出演者のみのライブ興業が全く問題なく成立するのが証明された感がありますね。最終日を2日に分けて、初日を今までと同じフォーマットで行い、2日目をライブ中心にしたのはおそらくそういう意図なのでしょう。出演者が馴染みかどうかに関わらずもう一度参加したいと思った人は多いんじゃないかと思います。

 観客同士の連帯感も強くって、生放送のコメントではオフ回しようぜ、Mixiにコミュ作ろうぜみたいな流れまで発生していましたね。コメント上では無名の「俺ら」でも、ライブを通すことで1人1人顔のある誰かなんだという意識が強まったところもあるかもしれませんね。

ニコニコ大会議ツアーファイナル2Days in東京・2nd day! - 2010/02/20 19:00開始 - ニコニコ生放送