世界はそれをニコ厨と呼ぶんだぜ

 ああ、ニコ厨のことですね。わかります。

 下のid:kaienさんのエントリを読んでそう思った人は私だけではないと思いたい。

 「一般人」は既に死んでいる。だれもが共有している趣味、価値観などどこにもない。そのことをノーボーダーは知っている。だから「一般人」がいて、「オタク」がいる、という二極的な世界像をノーボーダーは持っていない。

 かれにとって世界とは、ただ、たがいに異なる価値観をもつ無数の小集団が没交渉に存在する場所である。もっとも、ノーボーダーはその小集団のいずれにも属さない。かれは軽々とその境界線(ボーダー)を超えていくだろう。それがノーボーダーの真骨頂だ。
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20100225/p1

 オタク的なコンテンツを嗜みながらも、特段あるジャンルにこだわるわけではなく、軽々とジャンルを越境してただ楽しむことが出来る人たち…いわゆるニコ厨の典型的なイメージですね。この記事自体なにか既視感があるな、と思ったんですが、1年ほど前にこれと類似したエントリを書いて、その時も海燕さんと絡んでますねw。

誕生でも発見でもなく、越境が始まったんだと思う - 未来私考
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20081224/p1
「オタク」であることのプライド - 未来私考

 クラブ文化とオタク文化を自在に行き来する「超ライトオタク」とでも言うべき新世代が現れ始めている、という話で、この時もオタクと呼ばれることは吝かではないけど、自身をオタクにアイデンティファイすることに違和感がある、という話をしていたんですよね。それで、なんですが。

 私もオタクにアイデンティファイ出来ない境界線の住人であるという自覚があったんですよね。それが「ニコ厨」という概念にアイデンティファイした時に、自分自身ものすごくしっくり来たんですよね。海燕さんが「ノーボーダー」と言う呼称で呼んでいるその層は、実際のところいわゆる「ニコ厨」とほとんど重なるんじゃないか、ってことを昨年の議論の中でも言ったのですが、当時は上手く言葉が紡げなくて伝わってなかったんですよね。

もうニコ厨でよいんじゃないだろうか - 未来私考

 超ライトオタク、ノーボーダー、敷居の住人…なんでもですが、境界線上で踊る事を楽しんでいる人たちは、「ニコ厨」を名乗るといろいろと楽だよ!ということが言いたかっただけなんですね。ただ、この「ニコ厨」という分類は一つだけ重大な問題があって、「ニコ厨」にはまず第一義として、ニコニコ動画を良く見る人、という意味合いになっちゃうんですよねー。だから、ニコ厨的な気質の人でも「俺はニコニコあんまりみないからなー」という人はニコ厨を名乗りにくい。

 でもですね。必ずしもニコ厨を名乗るのにニコニコファンである必要もないんじゃないかってことも思うんですよね。オタクという語にしても、流通し始めた当初はアニメに熱中する人たち程度の意味合いだったのが、今日では非常に幅広いジャンルをカバーする言葉になってるわけですしね。何もニコニコ動画を毎日何時間も見てる人だけがニコ厨なわけじゃない。月に1時間程度しか観ない人でも、あるいは動画とか全然見なくても、ニコニコ的な価値観を共有できる人、ニコニコ動画が巻き起こす新しい価値観の蠢動を面白いと思える人であれば「ニコ厨」を名乗ってもまったく問題ない気もしています。

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