予算がなければ再放送すればいいじゃない
フジテレビの韓流偏向姿勢への批判が盛り上がっていますね。私自身は久しくテレビを観ない生活を送っており直接的な実感も実害も感じてはいないのですが、現象として大変興味深く見ています。メディアジャーナリストの小寺信良さんが録画機器を使った定量的な調査をしたらどうだろうかという提案をしていたりと、今後多角的で継続的なテレビメディアの現況についての調査が行われたりすると嬉しいですね。
一連の韓流偏向と呼ばれる現象について、ネット上では「これは韓国のコンテンツが安いから、純粋に商売上の理由」「いや、それにしてもこの偏向はおかしい、何か裏があるはずだ」といったやり取りが連日続いていますが、確かに安くて良質なコンテンツを求めているだけなら、何も韓流作品にこだわらなくてもいいんですよね。表題にも挙げましたが、日本には過去の良質なコンテンツが山のようにあるわけですから、それを再放送すればいい。自社制作の番組なら韓流コンテンツを買うよりも更に安価ですし、視聴者の動向も読みやすく無用な感情的な反発も呼ばない。一見して良いこと尽くめのように思います。当ブログでも地上派テレビの進むべき道は再放送の強化だということを何度か述べてきました。
しかし、現実は思ったほどには再放送偏重に傾いていないですね。何故そうはならないのか。ここに韓国政府の陰謀が…といった論調に結びつけたくなる心理もわからなくもないですが、私はこれは「テレビマンのプライドゆえ」なのかな、とそんな風に思っています。
長らくテレビというメディアは流行の発信基地として「時代を作ってきた」という過去があり、中の人たちもおそらくはそれを自負しているでしょう。しかしおりからのメディア構造の変化によりテレビ局自信が新たなコンテンツを作ってそれを発信していくだけの体力が今や失われてしまった。さりとて先達が築き上げてきた資産に寄りかかってしまっては今現場にいる人間にとってはそれは実績にならないんですよね。(それが借り物のコンテンツだとしても)自分たちの手でブームを作ってこそ実績になるんだという観念がテレビ局の前線にいる人たちの意識なのかも、と考えるといろいろ腑に落ちるのではないでしょうか。
特にフジテレビというのはそういった自負が強いテレビ局でしょうしね。番組を横断して韓流を盛り上げようという意識が透けて見えるのも、そういった意識の現れと考えれば納得がいくのではないでしょうか。
一連の抗議・デモを受けてフジテレビ自身がどう対応していくのかというのは正直のところわかりません。上記に書いたような自負心、プライドが主要因ならこれくらいの抗議では身じろぎもしないかもしれませんね。それよりも注目したいのはフジテレビ以外の他のテレビ局の動きですね。長くフジテレビのライバルとして時代を牽引してきた日本テレビ、メディア不況の中でジリ貧の状況が続くテレビ朝日、TBS、他の東京キー局に規模で劣るがゆえに早くからネットと親和的な動きを見せていたテレビ東京。これら各局がフジテレビ騒動を反面教師として、あるいは差別化策として自社の過去コンテンツの活用に積極的になってきたら面白いななどと考えています。今後様々な手法で定量調査でその様子がリアルタイムで追えることを期待しています。