「宿命の出会い」を読む

 この回もまたやりたい放題!ララア!ララア!いったいこの少女が何者で、これから何が起きるのかということは一切語られない!第一声が「かわいそうに」。そして「美しいものが嫌いな人がいて」のリフレイン。さっぱり意味が分からないけれどもあまりに叙情的すぎて画面から目を離すことが出来ない。もう完全に子供向けアニメだということは意識してませんね。この、中盤との落差がまたガンダムという作品を複雑にしている一つの理由でしょうね。

 ザンジバルホワイトベースが並ぶ絵をカイが「漫画だよ漫画」と茶化しますが、これは敵だった相手が終盤で簡単に味方に寝返ってしまうようなお約束の展開を揶揄したものでしょうね。アムロとシャアの邂逅も、そこだけを見ると一見そういった展開の可能性を見せるものでもありますね。

 アムロの「大事な用」というのは父に会いに行くことだったんでしょうけれども、そのあたりの事情をブライトには知らせずにミライだけが事情を把握しているというところもなかなか深読みしがいのあるところでしょうか。指揮官としてのブライトは信用を取り戻したけれども、人間としては実はまだあまり信頼されてない?プライベートなことはあまりブライトには相談したくないといった気分もあるのかもしれませんね。

 スレッガーの平手打ちは、カムランを袖にsるためだけに最もらしい言葉を並べるミライの不誠実さを咎めたもので、ブライトとの微妙な距離感も、ミライにしてみればブライトの好意を理解した上で、カムランが察して自然に距離を取ってくれればくらいのつもりで気を持たせてるんですよねえこれ。だからカムランとの関係が精算できたら、今度はブライトとの関係が微妙なことになる。こんな女の打算を何を丁寧に描写しているんでしょうこのアニメは(笑)。

 サイド6のテレビ局が戦争の様子をリアルタイムで中継する様を「これはドラマではありません」と評するが、CNNが湾岸戦争を中継し「まるでゲームのようだ」と言われる10年以上前にすでにこのメタな視点を導入しているという、これもなんだかクラクラするような話です。本当にとんでもない作品だなあ。