シュナイゼルの視線の先にあるもの

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20080916/p1

 確かにここ数話のシュナイゼルの動きというのは解釈が難しい。そもそも、何を目的として動いているのかがわからない。ルルーシュに対抗して世界の盟主となろうとしているのではないかという予想が大勢の見方ですが、私はそうは思わない。この期に及んでもシュナイゼルは自らが玉座に即くことを示唆する発言を、慎重に避けているんですよね。そもそも、帝都を消し去り、ナナリーを騙し、コーネリアを裏切り、その先に“民衆に望まれる”王になる道があるとは、とても思えないんです。シュナイゼルだけは、玉座に即かせたくない。これは多くの視聴者の共通認識となっていると思います。

 ではいったいシュナイゼルは今何を行おうとしているのか。シュナイゼルの行動原理については今までも何度か分析をしてきました。

シュナイゼルの野望を改めて考えてみる - 未来私考
赤と青に色分けされた世界で - 未来私考

 その中でもっとも重要だと思われるこの言葉。
“勝ちすぎると、その先には敗北が待っているから。人は誰でも希望を探しているんだ。勝つということは、それを踏みにじってしまう。敵も味方も、同じなんだよ。みんな、何かを求めているはずだから”
 私は、シュナイゼルの根本は、ここからまったくぶれていないと今でも思っています。

武力による世界統一の後に待つもの

 ルルーシュが行おうとしているゼロ・レクイエム。この実態についてはまだ不透明な部分も多く、こうだと言い切れないのですが*1、その第一段階として、圧倒的な武力を背景とした世界統一というビジョンがあるのは、間違いないと思っていいでしょう。その後、ルルーシュの統治が続くにしても、なんらかの禅譲が行われるにせよ、その安定統治を長らく続くというのは考えづらい。ちょうどコードギアスの後番組のガンダム00の番宣で、“統一化を果たした世界の裏で蠢く歪み”というセリフが出てきますが、外敵を失った巨大組織というのは内部から腐敗しそこから再び戦乱の芽が芽吹いてしまうというのが、世の常だったりします。人類が本当の意味で融和を果たす為には、外宇宙への進出のような新たな大儀を、長い時間をかけて育んでいく以外にない。それまでは2極あるいは3極のパワーバランスの中で緊張状態を保つことが、持続的な平和と発展を維持するためのもっともマシな方法なんです。

シャルルが放った呪いの言葉

 “畢竟、この戦いを制した側が、世界を手に入れるということ(中略)全てを得るか、全てを失うか。戦いとは元来そうゆうものだ”

 R2第16話「超合集国決議第一號」にてシャルル皇帝が言い放った言葉。これより先の世界は、ブリタニアか超合集国か、どちらが全てを手に入れるかという戦いに突入してしまっているんですね。ルルーシュが勝っても、ルルーシュが負けても世界は一つになる方向へと向かっている。もはや、両者が共に並び立つ未来というのを見通すのはとても困難になってしまっているんですね。シュナイゼルの目的は、まさにこの進みすぎてしまった時計の針を巻き戻すこと、世界を再び2極のパワーバランスの緊張が保たれた状態に戻すことにあるのではないか。そう考えています。

 ではいったいそのためにシュナイゼルは何を考え、何をしているのか。それについてはまた項を改めて分析していきます。

*1:そもそも失敗すると思っているので全貌は語られないかも知れない