歴史的役割を終えた「振り込めない詐欺」

 先月末あたりから、ニコニコ動画の「振り込めない詐欺」タグがあらかた消されるというタグ荒らしが横行しているようですね。
振り込めない詐欺とは (フリコメナイサギとは) [単語記事] - ニコニコ大百科


 実際今検索してみても上記のニコニコニュースメーカー動画以外はほとんど引っかからない状況です。
タグで動画検索 振り込めない詐欺‐ニコニコ動画(ββ)


 とはいえ、ニコニ広告がスタートして思った以上に受け入れられた現状を考えると、このタグの歴史的役割は終わったのかもしれないな、と思いますね。もう動画に対する愛を表明したかったらいくらでもお金を振り込めるわけですから。

 実際、振り込めない詐欺震源地となったような動画はそれなりにポイントの振込みが行われている印象ですね。

http://uad.nicovideo.jp/main/history/index.html?vid=sm5868271

http://uad.nicovideo.jp/main/history/index.html?vid=sm2420025

 ふと思ったんですが、タグ荒らしに遭うタグに入金すればタグロック的な使い方が可能なのかな?と思ったんですが1週間で消えてしまいますね、そういえば。別枠でカウントしてくれてもいいような気もしますね、どうなんでしょう。

ニコニ広告を権利者はどう見るか

ニコニ広告が良く理解できないので理解しよう - Liber Violaceus Book IV

 ところでこのエントリがなかなか面白かったです。

  • まず、(i) プレミアム会員というのは固定的な収入源であるかも知れない。プレミアム会員というのはそうちょくちょくなったりやめたりするものではないだろう。それに比べて、ニコニ広告というのは、人が誉めたいと思う動画が多ければそれだけ収益が上がり、少なければ収益も下がるというものだろう。(後略)
  • 次に、(ii) ニコニ広告の方が、権利保有者に対してアピールが強いのだと思う。どのような動画に対して一般のユーザーたちが金を払っているのか、ということは、どういう動画が購買に結びつきうるかということを調べる上で参考になるだろう。少なくとも、これまでのような単なる再生数や、コメント数、マイリスト数のような尺度を使うよりは良いだろう。(後略)
  • (iii) そして、この点がおれにとっては一番興味深く思われることなのだが、(ii) と同様、宣伝が個々の動画に対しての評価であると考えると、ニコニコ動画の運営にとってどの動画が価値あるものなのかがより明確に決めることが出来るようになるのだと思う。こうすると中々面白いことになると思うのだ。運営がユーザーによる宣伝から利益を得るのだとすると、それは、そこで宣伝された個々の動画がニコニコ動画上にあるからなのだ。ということは、そうした、運営に利益を齎す動画を簡単には消すことが出来ないようになるのではないか。だから、こうだ。明らかに、社会的に、或いは法的にマズイ動画なんだけれども、ユーザーたちが余りにも宣伝しまくってくれるから、運営はそれを消すに消せない、という事態が生じるのではないか。(後略)

 一部抜粋しましたが、ニコニ広告がニワンゴの収入減という意外にも、マーケティングのサンプルとして有効かもしれない。そして今後収益の柱にまでなるのであれば、よくポイントを稼ぐ動画をニワンゴが保護してくれるかもしれない、という予測ですね。確かにありそうな話ではあります。

 ただし、これを権利者の視点から見ると、「ニワンゴが俺等の著作物を使って儲けはじめやがった」と映らないでもないでもありません。どちらにせよ、その上がりの分け前を寄越せという話はどこかの段階で出てくる可能性は高い気はしますね。特に映像関係、ゲーム関係なんかは権利が複雑ですからあやふやな権利で対価を要求してくる権利ゴロのような連中も出てきたりするかもしれません。

 今のところニコニ広告はニワンゴが一方的に収益を上げるだけで動画製作者やその動画の素材となっている著作物の権利者への還流は想定されていないように思いますが、下手な難癖がつく前にニワンゴ側から積極的に動いて欲しいところです。

 奇しくもちょうど同じ週に超党派議員立法による“映像版JASRAC”の設立を目指す協議会が発足しました。

“映像版JASRAC”がコンテンツのネット流通を促進?

 こういった団体と上手く歩調を併せて著作物利用の次のステージを目指して欲しいですね。