「マチルダ救出作戦」を読む

 補給物資が困窮しすぎて逆に緊張感がゆるんでいる艦内の様子からはじまるのが印象的な「マチルダ救出作戦」です。

 先回に引き続きブライトから指揮官を引き継いだミライと、セイラのブリッジでの駆け引きが緊張感があって面白いのですが、これは別にセイラさんは当て付けでやってるわけでなくて、指揮官にはどっしり構えてもらわないと困るからこそなんですよね。命令を撤回しようとしたミライの言葉を無視してアムロたちを発進させたところなんかが顕著ですが、もしこれでミライに従って発進を取りやめたらアムロたちとミライの間の信頼関係が壊れてしまうわけで、言葉こそきついものの良く状況を見て動いてるんだなあと感心します。

 20話の冒頭で繕い物をするミライにじゃれつくセイラというシーンがありましたけど、今週の手を握り合うシーンなんかも、出来る女2人、意外と馬が合うというか、緊張感の中にも信頼関係がある様子が垣間見えて良かったりしますね。

 セイラさんと言えば、ミデア輸送隊の救出作戦を伝令する際にさりげなく「マチルダ隊の救出」と言い換えてるあたりもポイントが高いですねー。さすがおだてのセイラさん。男心をくすぐるのがとても上手い(笑)。それをまんま受け取って「マチルダさんがーマチルダさんがー」と言っているアムロと、そのあたりの機微を分かった上で茶化してるカイの対比も面白いですね。

 戦闘シーンはパワーアップのためのピンチという感が否めませんが、コアファイターだけでグフ1機沈めているアムロの戦闘力は半端な異です。今回カイが結構奮戦してましたが、結局グフ3機ともやったのはアムロなんですよねえ。そのあたりも含めて「今日はあなたが一番つらかったわね」とカイに声をかけるマチルダさんも男殺しですなあ。おだてすぎずにちょっと突き放したりするあたりもカイの性格を分かった上でやってる感がありますね。

 そんな和やかなムードに突き刺さる予告の台詞。内通者エルラン、ジュダックの存在もそうですが、視聴者と作中人物の間の情報に落差をつけることで感情移入を誘う脚本の妙味ですね。