「再会、シャアとセイラ」を読む

 シャアとセイラの芝居がかった会話は笑っちゃいけないと思ってても思わず笑ってしまうなー。こういう台詞を真顔で言うのがシャア・アズナブルという男ですね。その会話をブライトが傍聴しているという状況がますますおかしみを誘います。しかしあの金塊の出所はいったいどこなんだろうって、どう考えても軍の機密費ですね。公金横領(笑)。軍艦に私物で金塊は持ち歩かないでしょうしねえ。

 アムロの安否が不明な状況で落ち着き払ったミライに苛立ちを隠せないフラウ。ミライは、スレッガーの死は感じ取ったのだろうか。おそらくそうなのだろう。ニュータイプはけして特別な存在ではない。それを戦闘技術へと応用できるアムロの才能が特別だったのだろうなどとも思う。

 マ・クベの忠臣ウラガン、ルナ2でホワイトベースを見送ったワッケインが、何の言葉も残すことなく戦場から消える無情。名前をもった登場人物が、何の見せ場もなくただ残骸のみを残して死んでいく。観念的な話をやるからこそ、簡単には戦場のロマンチシズムを持ち込まない。そんな覚悟なのかもしれない。