ルルーシュの願いは叶わない
今日は、七夕ですね。コードギアスの世界にも七夕の風習はあるのでしょうか。そこでルルーシュはどんな願いを綴るのでしょう。母の仇を討てますように?ナナリーが幸せでありますように?穏やかで優しい日常が戻ってきますように?だけどその望みは、少なくとも穏やかで優しい日常をもう一度という望みは、もう決して叶う事はない。完膚無きまでに打ち砕かれてしまった。ルルーシュにとって、日常の象徴であり、全てであったシャーリーとの決別という形で。
願いが叶わないという予言
先週のモラトリアム終了宣言から続く学園での平和からの決別、偽りの楽園の終焉という展開の中で、1期において繰り返し用いられていたターム、スザクによるゼロ=ルルーシュに対する宣告“お前の願いは叶わない”という言葉の重さがズシリとのしかかって来ます。この一種呪いとも言える言葉はいまだ撤回されておらず、ルルーシュの心と行動を縛り付ける予言として機能しているんですね。ナナリーの救済という望みが取り上げられ、そこから新たな希望を手に入れる事でこの呪いはひょっとしたら解除されているのではないかという可能性もあったのですが…R2においてルルーシュが渇望した新たなる願い「日常への回帰」はもう2度と叶わない夢であった事が、改めて確認されてしまったんですね。
ルルーシュの本当の願い
しかし、R2第7話においてルルーシュが望んだ本当の願いは、実は自分自身が日常へと回帰する事ではないんですね。
ルルーシュという少年に欠けているもの - 未来私考
以前の記事でも少し触れたのですが、ルルーシュが真に望むのは、自分が関わってしまった人たちの人生が幸いなものである事、彼ら彼女らが望む世界を維持する事なんですね。それこそがルルーシュの、真の望み。であるならばその願いは叶う事があるのだろうか。それともやはり叶わないのだろうか。
世界は、変化し続けている
答えは、実は既に出ているんですね。世界は常に変化し続けている。今あるこの状況をどれだけルルーシュが好ましく思おうと、否応なしに時は流れ、風景は変わっていってしまう。永遠に続くモラトリアムは存在しないんです。ルルーシュが己の世界を守ろうとすればするほど、現実との軋轢は増していき、そしてルルーシュの望んだ世界はまたいずれクラッシュしてしまう。そして、世界はルルーシュを必要としない場へと変わっていく。かつてスザクに告発されたように。
ルルーシュにはまだ失うものが残っている。残りの話数の中でルルーシュは一縷の望みをも奪われ、全てを失っていくでしょう。ではそんな彼の人生には意味はなかったのか。何事も成し遂げる事が出来なかった人生には価値がないのか。コードギアスという作品の問いかける根幹の部分にはそういったテーマが仕込まれている、そのように考えています。