「ガルマ出撃す」を読む

 さて、第6話「ガルマ出撃す」です。ここでも腹黒さを隠そうともしないシャア少佐にしびれまくりですね。苦戦するガルマ部隊を見ながら「戦死するもよし、危ないところを助けて恩を売るもよし」とぬけぬけと考えているシャアと、そのシャアに対してまったく疑うことなく友情を感じているガルマとの対比がよいですよね。

 戦闘は圧倒的物量によるジオン軍の猛攻に負けることこそないものの、次第に消耗して余裕がなくなっていくという描写が良いですね。ジオン側の作戦が、ホワイトベースの撃破ではなく、徹底して捕獲に拘っているところも注意して見たいところです。

 またリュウの戦下手が何度となく強調されているのもポイントです。ブライトがリュウを指名したにも拘らず、カイかセイラさんのほうが上手くやれるとアムロに言い切られてしまうという。それをすんなりブライトが受け入れるあたり、パイロットとしてのリュウの評価は衆目の一致するところなんでしょうね。
 ところで、アムロの各人に対する呼び方が、ブライトは独り言では「ブライト」、呼びかけるときは「ブライトさん」なのに対し、リュウに対しては独り言でも「リュウさん」と言っているのが面白い。第3話での初出撃の際は「リュウ」と呼び捨てにしていただけに、この間でのアムロリュウに対する評価の変化が感じ取れます。戦いに強いことだけが人間の価値じゃないんですよね。

 しかし、いくらリード艦長が子供に怒鳴り散らすようないけ好かない大人だからといって、ことごとく上官命令を無視するブライトはやりすぎですね(笑)。このあたりのアムロとブライトは、お互いに未熟にも関わらず、お互いに自分こそが一番上手くやれるんだという、才能があるが故のエゴが出ていて面白いです。なんだかんだいってやっぱりブライトもエリートなんですよねえ。