「灼熱のアッザム・リーダー」を読む

 シュールだ。この18話を一言で表すとこうなるかも。何かこう、全体に違和感のある光景が続くエピソードです。それはSF考証として変ということではなく、日常の中に非日常が紛れ込んだ不思議な絵が多いんですよね。

 異様な面体のジオン軍戦艦グワジン。UFOさながらにゆっくりと空を飛ぶアッザム。このあたりはジオン=悪者という印象を強めたいスポンサー側の意向を汲んだ部分かもしれませんね。

 建物と建物の間から突如出現するガンダムの頭部や、小型バギーでガンダムの後を追走する絵なんかは、お台場ガンダムの写真を始めて見た時と同じような何とも言えない非日常感を醸し出してますね。

 フラウに図星を突かれていますが、一手柄立てて、大きな顔をしてホワイトベースに帰ろうと思っているアムロくん。この思考は明らかに問題のすり替えですね。アムロが敵の前哨基地を勝手に攻撃したのはこれで3度目ですが、繰り返し描写してきたことで単独行動の徒労感、無力感が良く演出されています。

 ところでマクベが言っているソリウムという資源ですが、これはどうやらウランに変わる核燃料として研究されているトリウムのことらしいですね。長らく架空の資源だと思っていましたが、本当に細かいところまでしっかりと考えて設定を組んであるんですよねえ。

 富野演出の代名詞ともいえるカットインのプロトタイプ的な手法が使われていることも注目でしょうか。もっともこの回の演出は富野監督ではなく貞光紳也さんですが。このあたりから演出的なチャレンジがいろいろと見受けられるような気はしますね。